ゴールドコラム Gold Column

金属の加工技術と
テクスチャー(表面加工)のおはなし

金(ゴールド)をはじめとする装飾品に用いられる金属加工技術には、さまざまな技法があります。
ここではその用語と技術について簡単にご紹介します。

金属加工技術

鍛金(たんきん)
金属を叩いて加工する技術の総称。
〔鍛金の種類〕
・板金…金属の塊を打ち延ばして板状にすること。
・打ち出し…金属板を叩いて模様を打ち出す技術。

鋳造(ちゅうぞう)
溶かした金属を、型に流し込んで形を作る技術。
〔鋳造の種類〕
・踏返鋳造(ふみかえしちゅうぞう)…型に原型を押しつけてつくった型に金属を流し込む。
・蝋型鋳造(ろうがたちゅうぞう)…蝋で作った原型を元に型を作成する。「ロストワックス鋳造」とも呼ばれる。

彫金(ちょうきん)
鍛造、または鋳造された金属にタガネ(ハンマーで叩いて使う、のみに似た工具)やのこぎりなどで加工を加えて模様をつける技術の総称。 〔彫金の種類〕
・線刻(せんこく)…金属板に線を刻み込む。
・透彫(すかしぼり)…不要な部分を切り取って模様を作る。
・象眼(ぞうがん)…ベースとなる金属に、別の金属などを埋め込んで模様を描く。
・魚々子(ななこ)…丸くて小さなのみで、魚の卵のような丸くて細かい模様をつける。

ろう付け
低温で溶ける「ろう(鑞)」と呼ばれる合金を接着剤とし、金属を接合する技法。
フラックスという、金属のパーツを保護してろうの伸びをよくする薬剤とともに用いるのが一般的。
金(ゴールド)には「金ろう」、銀には「銀ろう」、プラチナには「プラチナろう」を用い、主にホワイトゴールドに用いる「ホワイトゴールドろう」というものもある。

細線細工(さいせんざいく)・線状細工(せんじょうざいく)
針金状に細く加工した金属を使って、模様を描く技法。

粒金細工(りゅうきんざいく)
細かい粒状の金属を、土台となるパーツにろう付けする技法。

鍍金(めっき)
金属の表面に、別の金属を付着させて覆う技法。
めっきの方法は何種類かあるが、ジュエリーの場合は電気分解による電着の現象を利用した「電気めっき」で行う。

テクスチャー(表面処理)

4世紀に始まり、栄えていたヒンドゥー教寄りのグプタ王朝も8世紀には倒れ、
インドは諸国乱立の状態となり、美術様式も地方ごとに独自の発展を遂げていきます。

そんな中、11世紀にはインド北部にイスラム勢力が侵攻しはじめ、13世紀にムスリム王朝が成立すると、インド北部ではヒンドゥーとイスラムの文化が入り交じるようになりました。


テクスチャーの種類

◆貴金属表面に施すテクスチャー
 梨地・荒し・筋目(ヘアーライン)・布目(サテン)・槌目(ハンマー)

◆ワックス表面に施すテクスチャー
 岩肌・木肌・溶かし・引き目・皮革・筋目・布目・槌目・粒金風

◆自然素材を原型に使って得るテクスチャー
 木肌・葉脈・繊維・紙・布

◆薬品などで処理するテクスチャー
 白仕上げ・いぶし仕上げ

◆粘土状地金(銀・金粘土)に施すテクスチャー
 素焼肌・縄目・網目・石目など“


参考:ジュエリー技法講座6 ジュエリーデザイン制作辞典/美術出版社

梨地(なしじ)
金剛砂(きんごうしゃ)と呼ばれるガーネットの原石を砕いたものを貴金属表面に打ちつけるか、サンドブラスターという機械、または梨地タガネと呼ばれる工具で無数の細かい傷をつけたテクスチャー。質感が梨の皮に似ていることからこの名がついた。
このテクスチャーを施すことで、全体がソフトタッチの落ち着いたジュエリーとなる。

荒し(あらし)
ハンドモーターにダイヤモンドポイントという工具をセットし、少しずつ回転させながらリングやほかのジュエリーのパーツなどに傷をつけるテクスチャー。
梨地より粗い仕上がりとなる。

筋目(すじめ)、ヘアーライン
一定方向に無数の細い線の入ったテクスチャー。
深くはっきりしたラインを「筋目」、それよりもさらにきめ細かいラインを「ヘアーライン」と呼び分けることもある。

布目(ぬのめ)、サテン
筋目やヘアーラインをアレンジしたテクスチャーで、細かな線を交差させたもの。織物のように見えるためこう呼ばれる。

槌目(つちめ)、ハンマー
先端を丸めた小さな打ち出し用のタガネで貴金属の表面を打って、たくさんの丸いくぼみができたように見えるテクスチャー。
くぼみの深さにより、タッチを強めに見せたりソフトに見せたりと表現を変えることができる。さらに光を乱反射させることで微妙な輝きを出し、温かみを感じさせることができる。

いかがでしょうか。
ぜひ世界にひとつだけのオリジナルリングのデザインの参考になさってみてください。
素材やデザインによっては加工の難しいものもあるあもしれませんので、ithの店頭にてお気軽にご相談くださいね。

参照文献
『図解 装飾品』/新紀元社
『ジュエリー技法講座6 ジュエリーデザイン制作辞典』/美術出版社

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