ゴールドコラム Gold Column

金(ゴールド)にまつわるお話:
史上最も豪華な沈没船

「海の花」という意味の名をもつ武装商船「フロール・デ・ラ・マール号」は1502年、ポルトガルの首都リスボンで建造されました。

ポルトガル艦隊の豪華な帆船

大規模な帆船フロール・デ・ラ・マールは、大航海時代のポルトガルで大いに活躍しました。
他国への侵略に何度も用いられ、東南アジアからポルトガルへ財宝や香辛料など多くの物を運びました。

1510年にインドのゴアを占領し、翌年マレー半島のマラッカを征服し、タイの国王の財宝をも奪った総督アフォンソ・デ・アルブケルケは、
他の数隻の船と艦隊を組んでインドに向けて出航しました。

“フロール・デ・ラ・マールは船体が大きいため敵に恐れられたが、大型ゆえに操作性が悪く、過去には浸水も起きていた。積荷を満載すると、不安定になることは明らかだった。だがアルブケルケは、過去に例がないほど多くの財宝を積むように命じた。船倉に積まれたのは60トンほどの金、200箱と言われるダイヤモンド、エメラルド、ルビー等の宝石だ。”

引用:絶対に見られない世界の秘宝99/日経ナショナルジオグラフィック社

ところが、スマトラ島北東のマラッカ海峡で激しい嵐に遭い、この不安定な船はついに難破してしまったのでした。

それにしてもゴールド(金)だけでも60トン、さらに宝石200箱って… 「史上最も豪華な沈没船」と呼ばれるのも納得ですね。

息をひそめたままの海の花

フロール・デ・ラ・マール号が沈んでから500年が過ぎました。
しかしこの船も、ありえないほど莫大なゴールドや宝石などの財宝も、今もなお海の底。
これだけ長い年月が経っていながら未だに引き上げられていないどころか、船の位置すら突き止められていないのだそう。
いずれ探索や引き上げの技術が発達してこれらが発見されることがあったら、その豪華な戦利品をぜひ一度見てみたいですね。

なお、実物の船はまだ沈んだままですが、マラッカの海洋博物館に行くと、このフロール・デ・ラ・マール号のレプリカを見ることができるそうです。

参照文献
『絶対に見られない世界の秘宝99』
日経ナショナルジオグラフィック社

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