ゴールドコラム Gold Column

古代アメリカ大陸の
金(ゴールド)と装飾品のお話<その1>

アメリカ大陸には、当然のことながら1492年にコロンブスに発見されるよりはるか昔から人々が暮らし、黄金の文化もありました。

新大陸として発見されるまで、どのような金(ゴールド)にまつわる歴史があったのでしょうか。

南米黄金文化のはじまり

アメリカ大陸での黄金文化は、南アメリカからはじまりました。

“ペルー南部高地のワイワカで、紀元前1800年ごろの遺跡の発掘が行なわれ、金属を打ち延ばすための石のハンマーと、 床が発見され、それらに金箔が付着しているのが認められた。
…(中略)…
 しかし金工術が本当に芸術の名に値するのは、ワンカラニ文化の直後にペルー中部高原および北部海岸を中心に興ったチャビン文化時代である。
…(中略)…
 チャビン文化は紀元前200年ごろ衰退し、その後北部海岸や南部海岸に新しい地方文化が興ったが、 北部海岸の広い平地に生まれたモチェ王国の文化においては、金細工が重要な位置を占めた。”

(引用:黄金の世界史  講談社)

いずれにしても、今から2000年以上前には黄金の文化が栄えていたようですね。
この地域にはそもそも金属資源が豊富だったとのことなので、当然と言えば当然のことだったのかもしれません。

多くの伝説を残す金(ゴールド)

北部海岸ではモチェ文化が750年頃まで続き、その後900年から1100年に最盛期を迎えるシカン文化、 14世紀半ばに興ったチムー王国、
15世紀後半にはインカ帝国と続いて行きますが、いずれも金(ゴールド)とは縁が深く、多くの黄金製品がピラミッドなどから発見されています。

ただしインカの金製品については、侵略してきたスペイン人に奪われ、溶かして延べ棒にされてしまったため詳しいことはわからないのだそうです。

そしてインカ帝国の北にあるエクアドルでも、紀元直後から金製品が作られていましたし、
黄金郷伝説のエルドラドで有名なコロンビアはエクアドルの北にあり、ここでももちろん黄金文化が発達していました。

このように南米大陸では、北部海岸など北西部に金(ゴールド)の文化が集中していたようです。

多くの金製品が発見されていながら、伝説の黄金郷やインカの黄金などは目にすることができないというのは本当に残念ですね。

参照文献
『黄金の世界史』
講談社

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