ゴールドコラム Gold Column

古代インドの
金(ゴールド)と装飾品のお話

長い歴史を持つインド。
この国では金(ゴールド)はどのような存在で、どういった装飾品があったのでしょうか。

貿易で栄えたインド

インドには少なくともデカン高原に金(ゴールド)の産地があり、古代からある程度産出していたようです。
マウリヤ朝(紀元前317年~前180年)で鋳造されていた金貨はこれを材料として作られていました。
それに加え、西方(ローマ)や東方(中国)との貿易も行われ、大量の金(ゴールド)が流入しました。
紀元直後になると経済的にさらに発展したようで、インド全土で発見される金銀貨の量がこの時期から急激に増加しているのだそうです。
ちなみに北インドではクシャーナ朝でローマ金貨をモデルにした金貨をつくりはじめ、南インドではローマ金貨がそのまま流通していたとのこと。

そのまま流通するほど大量にローマ金貨があったということは、それだけローマとの貿易が盛んだったのですね

古代から引き継がれる装飾品

紀元前3000年頃に始まったインダス文明ですが、それよりずっと前の紀元前7000年頃から、インドの北西部・バルチスターンには古代インド人の集落がありました。
残念ながら当時は金(ゴールド)の装飾品はなかったようですが、インダス文明の頃になると金(ゴールド)、銀などの金属を使ったものも出てくるようです。
とはいえ、金属は貴重だったようで、宝石類を使ったものが中心だったようです。

インダス文明が衰退した後、インドでは様々なことが起こりました。
紀元前10世紀頃のアーリア人の侵略、バラモン教やカースト制度の成立、紀元前5世紀頃の仏教の成立、紀元前3世紀頃のクシャーナ王朝の成立、仏教美術の発展などなど。
そして装飾品の歴史にもっとも影響が大きかったのは、4世紀のグプタ朝の成立でした。

グプタ朝は文化的活動に重点がおかれており、現在の純インド的文化のベースがここから生まれ、
現代の装飾品とほぼ変わらないものがこの時代に作られていたのだそうです。

今のような装飾品がそんなに古い時代からあるの!?と一瞬驚いてしまいますが、
紀元前3000年のインダス文明よりさらに古い時代があるインドの長い長い歴史からすれば、大した時間ではないのかもしれませんね。

参照文献
『黄金の世界史』/講談社
『図解 装飾品』/新紀元社

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