初めは、プロポーズのご相談にて。
どんなふうに贈ろうか、お相手さまの喜ぶお顔を思い浮かべながら
じっくりお選びになっていました。
期待と緊張の混じった背中を見送った約1ヶ月後、
お相手の女性と一緒にアトリエへお越しになりました。
デザインは、スタンダードなものよりも少し遊び心のあるものがお好み。
まずはご婚約指輪のサンプルを試していて、
女性の目に留まった指輪は、メインのダイヤモンドが四角いプリンセスカットのものでした。
婚約指輪として用いられるダイヤのカッティングは、
ラウンドカットダイヤが8割ほど。
メインのダイヤの形が四角いと、それだけで少し他の人と違った個性が出ます。
リングアームは、ころんと丸みのある形があたたかな、マットの質感のものを。
ithのコレクションにないデザインなので、オーダーメイドとして、
アームとのバランスとダイヤのサイズや、ダイヤを乗せる石座の形など
細かくお二人と一緒に決めました。
ご結婚指輪は、お二人でお揃いになるように選びます。
たくさんのサンプルリングを試しながら、お二人のお手元に馴染むものを探していきました。
こちらでもお二人の目に留まるのは、スタンダードなデザインよりも遊び心が効いたもの。
形に変化をつけたデザインや、彫り模様が入ったデザインが候補に上がる中、
お二人の一番のお気に入りは《槌目 薫風》でした。
表面を金槌で叩いて模様をつけた、柔らかな印象の槌目に
マット加工でつや消しをしています。
このマット加工は”ヘアラインテクスチャ”という種類の加工で、
ご婚約指輪のアーム部分に施すのと同じもの。
統一感も出て、素敵な組み合わせに仕上がりました。
ご納品の際にもお二人一緒にアトリエにお越しいただき、
完成した指輪をお渡しさせていただきました。
お二人とともに作ったこの指輪が、
この先もお二人のお手元で輝き続けると思うと、
私まで幸せであたたかな気持ちになります。
お二人の家族としての節目の際には、
またお祝いのお手伝いができたら嬉しいです。
つくり手 櫻井