結婚指輪選びの中で大切にしていることを、
一つのデザインで叶えられるのが
既製品とオーダーメイドの一番の違いだと思います。
ご自身のこだわりと、パートナーの好み、
そして二人の指輪としてのお揃い感。
ご相談の中でたどり着いた
一組の結婚指輪のカタチをご紹介いたします。
お揃いのデザインに込めた、お二人のこだわり
お揃い感も大事にしながら、
お二人のこだわりもしっかり反映されるように
試着を進めていきました。
ベースとなる形は《マルカート》に。
リボンが翻ったようなさりげないカーブが
薬指に馴染み、優しい着け心地です。
シンプルなものが好みだった男性は、
目立ちにくく、つけていて気にならない
デザインであることがポイント。
トップの部分に槌目秋のテクスチャを施し、
マットな質感にしました。
渋いテイストを気に入ってくださいましたね。
あたたかみのあるクラフト感が、
肌馴染みの良い自然な印象にしてくれます。
女性の好みは、シンプルかつ細身で可愛らしいデザイン。
ダイヤモンドは長く身に着けることを考え、
繊細な印象と華やかさを
兼ね備えていることがポイント。
その点でも《マルカート》は
好みにぴったりでしたね。
また、中央に宝石をひとつセットした
ソリテールタイプの婚約指輪との
重ね着けのバランスも気に入ってくださいました。
《マルカート》はもとは
リング幅が2.0mmのコレクションです。
初めは細身のデザインが好きなお二人でしたが、
これから何十年と身に着けることを考えると、
しっかりとした幅感がいいのかな…と悩まれていました。
〈上:リング幅2.0mmのマルカート〉
男性から、好きなものを着けるのが良いよと背中を押され、
“幅を大胆にアップするのは
歳を重ねた時はいいかもしれないけれど、
今好きなデザインをずっと好きで身に着けていくのもいいな。”と、
リングの幅を手のひら側を2.3mmに、
リングトップを2.5mmでお仕立てし
程よい幅感になるよう調節しました。
お二人の指輪の幅を合わせることで、
よりお揃い感も出すことができました。
たくさん吟味して、幅やマット加工と、
繊細なこだわりが詰まった初めてのお揃いの物になりました。
半年後、挙式前のメンテナンスへ
ご納品から約半年後に
挙式前のメンテナンスへお越しいただきました。
お預かりした指輪には、
お二人に大切にお使いいただいている様子が見える、
いくつかの小さなキズがありました。
キズをとる磨き直しでお預かりし、
メンテナンス後はご納品時のような
ピカピカの仕上がりを喜んでくださいましたね。
ピカピカに磨き直した指輪には、
お二人一緒に過ごした時間の分だけ
また新たに小キズがついていきます。
たくさんの思い出を指輪に刻んでくださいね。
永く身につけたい、お二人にとっての結婚指輪づくり
今でもお二人にご納品した時のことを覚えています。
少し緊張したような、ソワソワしながら
完成した指輪を手に取ってくださいましたね。
たくさん吟味したからこそ、
完成した時のワクワクや喜びはひとしおです。
《マルカート》はイタリア語で
“印をつける”という音楽用語です。
お二人を一番近くで見守る、夫婦の印。
ithではそんな想いを込めてお仕立てしています。
ふとした時に、指輪を見て、
指輪をつくった時の記憶や
指輪と共に歩んできたお二人の
時間を思い出していただけると嬉しいです。
お二人の末永いお幸せを願っています。
つくり手 小野寺