ご結婚から1年が経とうとする昨年の4月。
ithで結婚指輪をお作りくださったお二人が、
ふたたびアトリエを訪ねてくださいました。
今回は、結婚1周年の記念に
重ね着けできるアニバーサリーリングを、とご相談に。
その指にそっと馴染んだ結婚指輪が、
1年間の歩みを静かに物語っているようで
つくり手としてもあたたかな気持ちになりました。
お二人で重ねていく、歳月と輝き
「シンプルな指輪に、毎年ダイヤをひと粒ずつ増やしていきたい」
お二人で歩む歳月のしるしを、
少しずつ、丁寧に指輪に刻んでいくというお考えは、
最初からお二人の中にありました。
男性が選ばれた《クアトロ》は、
すっきりとした平らなラインが印象的なリング。
結婚指輪《スペリオーレ》と重ねたときの
バランスも美しいデザインです。
普段使いの中でも落ち着いた佇まいでいられるよう、
あえて表面には装飾を加えず、
ダイヤはご自身にだけ見える指輪の側面にひと粒。
女性が選ばれたのは優しい丸みの《アンダンテ》。
結婚指輪の《カンタービレ》の柔らかなラインと調和するシンプルな形に、
さりげなく光るダイヤをひと粒。
休日にだけ身に着けるというその指輪には、
日常の中にそっと小さなときめきを添えるような、
優しさを感じる指輪となりました。
新しい日々と、新たなひと粒
そして先日、再びアトリエにお越しくださったお二人の腕の中には、
ひと月前に誕生したばかりの小さな命がありました。
新たなご家族とともに迎えた2年目のアニバーサリー。
今回は、それぞれの指輪にふた粒目のダイヤを添えるご相談でした。
お二人は、指輪に刻まれた細かな傷や、
わずかに変化した形さえも、
ともに過ごした日々の証として大切にされ、
あえて磨き直すことなくそのままの姿で、
ダイヤだけを新たに施すことにされました。
年月のなかで自然に手に馴染んでいくその指輪は、
まさにお二人らしさそのもの。
これから先、どんな日々を重ねていくのか。
そのすべてが、またひと粒ずつ、
小さな輝きとして指輪に刻まれていくのでしょう。
お二人の歩みとともにあるその指輪が、
これからもずっと、やさしく寄り添い続けますように。
つくり手 黒坂