お二人と初めてお会いしたのは、2024年の秋でした。
スロベニアからお越しのお二人は、日本が大好きとのことで、
来日するのは今回が3度目。
その日は日本へ到着した日だったということもあり、
約15時間のフライトの直後にアトリエへお越しになったお二人でしたが
お疲れが見えないくらい、明るくお話ししてくださったことを覚えています。
シンプルなデザインよりも、お持ちのリングと相性の良い、
表面加工に特徴のあるデザインがお好みでしたね。
どんな表面加工が良いか、どんな形状のものが良いか、
じっくり丁寧に試着を重ねて、お二人の結婚指輪に相応しいものを探しました。
お二人が一番に気に入った加工は《槌目 秋》でした。
指輪の表面を鏨で叩いて作る《槌目 秋》の加工は、
その過程でほどよく上品な光沢が生まれ、細やかな凹凸がプレーンなマット加工とは一線を画します。
お二人はアレンジとして《槌目 秋》を表面にのみ加工、
側面はあえて鏡面仕上げにして、見る角度によって表情が変わって見えるデザインに。
指輪全体の印象を左右するリング幅は、お二人の手の大きさに合わせて調整しました。
初めてアトリエを訪ねてくださってから半年後、
お二人からオーダーしたいとのご連絡をいただきました。
何度かメールで制作に関するお打ち合わせと最終確認を行い、制作を開始。
指輪の内側へは、日本語で「愛」と刻印しています。
日本を好きでいてくださり、日本に思い出がたくさんあるお二人ならではの刻印です。
完成した指輪は国際配送にてお二人のお住まいへお届けしました。
後日、メッセージとともに幸せそうなお二人のご結婚式のお写真が届きました。
たくさんの大切な人たちに囲まれたお二人の笑顔がとても印象的で、
海を超えてかけがえのない特別な瞬間に立ち会えたことに、胸がいっぱいになり、
指輪を無事にお届けできた安心感とともに、心から嬉しい気持ちになりました。
あの日の笑顔や、指輪についてたくさん考えた時間が、
お二人のこれからの日々のなかでも、ふとした瞬間に思い出されるようなものでありますように。
またいつか、どこかでお会いできることを心待ちにしています。
つくり手 櫻井