結婚指輪は手作りかオーダーメイドか
「自分たちで作るか、職人に任せるか」
それが、お二人の結婚指輪選びの最初の決断でした。
ithに出会う前に女性が興味を持たれていたのは、ご自身で手作りする結婚指輪。身に着ける自分自身が手作りする結婚指輪は、かけがえのない特別なものですよね。
一方でオーダーメイドは、身に着ける自分たちの要望に合わせて、職人がひとつひとつ指輪を作ってくれるもの。職人の技術で思い描いたデザインの結婚指輪が生み出されます。
お二人はデザインや制作期間を踏まえて職人に任せることに。そしてithを見つけてくださったそうです。
職人だからこそできる、細やかな手仕事
「あまり太くない方がいいし、主張が激しいデザインだと手元で浮いて見えるな」
たくさんのサンプルをじっくりとご試着されたお二人は、丸みのある甲丸の形状、そして手仕事を感じられるマットな風合いがお好みでしたね。候補にあがったのは、《デザート》・《フォレスタ》・《槌目 薫風》の3種類のデザインです。
さらに、お二人のこだわりとして浮上してきたのは “不規則” なデザインであることでしたので、不規則というキーワードを元に、それぞれのデザインを掘り下げてみました。
《デザート》
《デザート》は、モチーフである砂漠の山並みをイメージし、職人が手作業で削って生み出す凹凸が特徴。まさにお二人がイメージする不規則なデザインでした。
《フォレスタ》
そして、木肌のような有機的な彫り模様の《フォレスタ》もまさに不規則。手に馴染む風合いもお二人のお気に入りでしたね。
《槌目 薫風》
一方で《槌目 薫風》はと言うと、職人が金槌を打ち込むことで凹凸が作り出され、全周へ同じ金槌でほぼ一定の大きさで模様が指輪へ打ち込まれます。
じっくり見比べてみると、《槌目 薫風》の模様は規則的に感じてきたお二人。
職人がひとつずつ彫り出す模様に、ひとつとして同じものはない《デザート》と《フォレスタ》が最終的にお二人の心を掴みましたね。
そこからはさまざまな角度からふたつのデザインに向き合うも、「どちらも好きすぎて選べない…」と、お二人の迷いは深まるばかりでした。
お客様とつくり手、三人で考えて生まれたお二人だけの結婚指輪
つくり手の私も、どうすればお二人が何かを諦めることなく指輪を制作できるか考え、《デザート》と《フォレスタ》を半分ずつ指輪に施す案に思い至りました。
工房の職人に問い合わせるために離席し、“模様の切り替え部分をどのようにデザインすれば美しいか” など、ご提案に必要な情報を集めてお二人の待つテーブルへ戻りました。
すると男性から、「思いついたんですけど、半分ずつはどうかなと思って。できますか?」と一言。なんと、お二人も私と同じことを考えていらっしゃいました。
こうして形になったのが、お二人の大好きなデザインが融合した特別な結婚指輪です。
表は《デザート》、
くるっと回すと、反対側には《フォレスタ》が施されています。
指輪の完成はもちろんでしたが、お好きなデザインを諦めずどちらも楽しめる仕上がりが、なによりも嬉しそうだったお二人のご様子がずっと心に残っています。
ふたつの模様の切り返しもナチュラルに仕上がり、「切り替え部分をあえて見せるのも、お洒落でいいよね」と新たなお気に入りポイントもできました。
「選べない…」を個性に変えた結婚指輪づくり
末永く身に着けるご結婚指輪選びは、人によっては即決できるものではないと思います。お二人もたくさん悩み、「選べない」ことをお二人の個性として、指輪のデザインに込めることができました。
まだまだたくさんお二人が迎えるであろう決断のタイミングに、これからもどうかお二人らしい選択ができるよう願っております。