職人のカット技術で磨き上げられた、キラキラ美しいダイヤモンドで婚約指輪を

ダイヤモンドの美しい輝きを引き出す、研磨職人の技術のおはなし

ダイヤモンドは美しい輝きの象徴であり、“宝石の王様”との呼び声の高い宝石です。その永遠の輝きが、愛を誓う結婚指輪婚約指輪のイメージにもぴったりですね。

キラキラ輝くダイヤモンドの原石は、自然の恵みでもあります。地中奥深くで10億年以上の時間をかけて結晶化し、マグマによって地表近くに押し上げられ、ダイヤモンド鉱山から採掘されます。

 

 

そんなダイヤモンド原石は、元から輝いているわけではありません。形を切り出し磨き上げた末に、やっと誰もが知るキラキラ輝く宝石の王様・ダイヤモンドが姿を表します。

 

 

それでは、目にするだけで気持ちを高揚させてくれるダイヤモンドの輝きは、どのように生み出されるのでしょうか?

今回は、実はあまり知られていない、ダイヤモンドの研磨工程についてご紹介します。

原石の特徴を捉え、“石取り” を決める

原石の加工で、まず重要なのが“石取り”と呼ばれる工程です。

 

 

ひとつひとつ形の異なるダイヤモンド原石。

個々の原石に合わせて、可能な限り内包物を避けつつ、重量を残し、輝きが美しいダイヤモンドルースを切り出せるよう見極めます。

 

石取りの様子を見せていただきました

ジュエリー職人でも実際に目にする機会の少ない石取りの工程を、Eiwa Material・関根さんにご教示いただきました。

まず初めに、専用のマシンで原石の情報をトレースします。マシンが開発される以前は、手作業で原石の角度を変えながら写真を撮影し分析していたそうです。大変骨の折れる工程でしたが、現在では正確性と効率が格段にアップしたと伺いました。

 

 

専用のマシンにダイヤモンド原石をセットすると、スキャンされたダイヤモンド原石の立体情報が、トレース画像としてディスプレイに表示されます。

 

 

さらに、この原石をどのように加工すべきか、位置取り(=石取り)が提案されます。

 

 

このデータは言うなれば診断書であり、ダイヤモンド加工の見取り図のようなもの。

内包物(インクルージョン)など、原石の内部構造に沿って最適な石取りを職人が見極めます。

 

 

原石の形状や内部構造には個体差があり、取れる石の数や大きさの比率に違いが生まれます。画像に表示された原石の場合は、大小ふたつのダイヤモンドルースの切り出しが提案されました。

ひとつひとつの診断結果に則って、ダイヤモンド原石を研磨職人が切り出し磨き上げていきます。こうして理想のカットが施されたダイヤモンドルースが作り出されるのです。

《もっと詳しく》ベストな石取りとは?

最適な石取りとは、ダイヤモンド原石を最大限活かすことです。そのためには、研磨する職人の高い技量が欠かせません。

 

 

例えば、2.0カラット以上のダイヤモンドが取れる場合、なるべく大きさを保ってダイヤモンドが取ることを優先します。反対に0.5カラット以下であれば、大きさよりも輝きや色の美しさ重視の石取りを行うため、内包物への配慮が重要となります。

このように、その原石それぞれの魅力を引き出す判断が下せるのが、目利きであり技術のある研磨職人なのです。

 

 

さらに、腕のよい研磨職人がダイヤモンドを研磨することで、具体的に下記のようなダイヤモンドルースが生み出されます。

*ロスなく研磨し、重量(大きさ)を残す

 → カラットが大きなダイヤモンドが仕上がる

 → さらにルースダイヤモンド(0.1ct未満の小さなダイヤ)が取れる

*内包物・傷を避け、効率的に光を入射〜反射

 → クラリティ(透明度)が高まり輝きが発揮される


《さらに詳しく》内包物(インクルージョン) とは?

天然のダイヤモンドは、地中奥深くで成長しながら形成されます。内包物(インクルージョン)とは、ダイヤモンド結晶の成長過程で、他の鉱物の結晶が内部に混じったり、不規則な原子構造が生じたものです。内包物や傷(ブレミッシュ)は光を遮ることで、ダイヤモンドの輝きを阻害する原因となります。

 

ダイヤモンドのカットは、輝きを高めるために光が効率的に入反射するよう、精緻な計算に基づき行われます。内包物や傷の影響を最小限に留めつつ、なるべく原石を削らずに残すことで、より大きくて輝きが美しいダイヤモンドルースが仕上がります。

 

より美しい輝きを求めて

現在の日本では、大きさは控えめでも輝きが美しいダイヤモンドが好まれる傾向にあり、キラキラ美しい輝きを引き出すカットが非常に重要となります。

 

ダイヤモンドのシェイプは丸・四角・ハートなど種類が豊富ですが、最も輝きを放つのがラウンドブリリアントカットです。

ダイヤモンドのラウンドブリリアントカット

ダイヤモンドと聞いて、多くの方が思い浮かべるこの形こそがラウンドブリリアントカットです。

ラウンドブリリアントカットは、58面体に及ぶ小さな面を磨き出すことで、ダイヤモンドに無数の光の反射を生み出す20世紀に開発されたカット技法。ダイヤモンドの輝きを引き出す鍵となります。

 

 

ファセット面をはじめ、各部位の形・大きさ・対称性、そして角度などが、輝きを引き出すために決められており、削り出して研磨する工程は職人の手作業で行われます。

 

 

技術をコントロールし、細部まで精緻にダイヤモンドを磨き上げる経験と技術を持つ職人は、トリプルエクセレント(3EX)ダイヤモンドを作り出します。その中でも一握りの職人だけが磨き上げられるのが、ファイブエクセレント(5EX)ダイヤモンドです。

 

 

データには表れない個々のダイヤモンド原石の硬さの違いや特性を、指先に伝わる感触・音などあらゆる感覚を用いて実際に研磨しながら見抜けるのは、ごく限られた研磨職人だけです。繊細に磨き上げられたダイヤモンドは、対称性(シンメトリー)を有します。

 

 

 

 

シンメトリーを表すひとつの要素が、ダイヤモンドに現れる“ハート&キュービッド”です。動画左側に表示される5EXダイヤモンドには、形と間隔が均等な8本の白いアロー(矢)が確認できます。

右側のEXカットのダイヤモンドと比較すると、矢の形だけでなく、輝きの違いも確認することができます。動画の通りクラウン側にはアロー、さらにパビリオン側にはハートの形が認められるダイヤモンドはシンメトリー(対称性)の高さの表れであり、ハート&キュービッドダイヤモンドと呼ばれます。

 

職人の力量で引き出される、ダイヤモンドの輝き

ダイヤモンドの輝きを高めるカット工程についてお話してきましたが、具体的にどのような作業をしているのか、イメージが掴みづらいですよね。

 

 

そこで、ダイヤモンドカッターとしても素晴らしい技術を持たれる関根さんのサポートによる、ith代表・高橋亜結のダイヤモンドの研磨体験の様子をご紹介します。

ダイヤモンドの研磨体験

 

研磨に使用する工具はシンプルで、レコードプレイヤーのような構造です。例えて言うならレコード針の先端部分にダイヤモンドを、レコード盤部分に研磨盤をセットするイメージで、回転する研磨盤にダイヤモンドを当てて平滑に削ります。

 

使用する工具や、工程自体は意外なほどシンプルです。


しかし、ダイヤモンドの構造を熟知して、削りたい方向に合わせて正確にセットしなければ、正確にシンメトリーなダイヤモンドを削り出すことはできません。仕組みは簡単でも、職人にしかできない難易度の高い作業です。

ロスなくより平滑になるよう注意を払い、小さなダイヤモンドを58面体に削り上げるためには、原石を見極め最適な角度でセットすることが肝心です。

 

 

実際の研磨作業。指先に振動が伝わり、少しずつダイヤモンドが削れていきます。

 


しかし削ることはできても、どのくらい削れているか、滑らかに削れているかどうかを、音や感触から判断することは容易ではありません。

 

 

プロの職人は、削っては面を変えながら研磨作業を繰り返していきます。この工程を経ながら、ダイヤモンドは徐々に輝きを得ていきます。

 

 

関根さんのような腕利きの職人が作業した場合、ダイヤモンドと研磨盤が触れ合うと互いに磨き合いが起こり、研磨後の盤がより滑らかになるそうです。

 

 

しかし経験がない者が研磨を行った後の研磨盤には、研磨用に作られた放射状の凹凸の他に、円盤の回転方向に沿った円周状の深い溝がついてしまいました。

 

 

道具を作るスキルもまた、優秀な職人の証。研磨盤に限らず、職人は使う道具を自ら制作して作業を行います。

《まとめ》優れたカット技術を支えるポイント

・原石の見極め

・研磨方向の見極め

・原石の結晶構造の見極め (削れる部分と硬い部分)

・道具 / 研磨盤を作る・長持ちさせる → 自分で作る

・職人の研磨スキル

 

人生を彩るダイヤモンドの輝き

ダイヤモンドは素敵、だけど違いが分からない” という方も、加工方法を知ることで、ダイヤモンドがぐっと身近に感じられるのではないでしょうか?

 

 

4Cの高評価や5EXダイヤモンドといったグレードや価格には、職人の丁寧な仕事ぶりが反映されています。詳しく評価基準を知るにつれ、ご自身にとってより美しく価値があると感じられる石を選びやすくなります。

人と人の出会いと同じように、宝石はひとつひとつ異なる魅力を持ちます。ithでは、何より大切なのは“身に着ける方が本当に欲しいと思えること” と捉え、信頼のおける高品質なダイヤモンドをはじめ、さまざまな個性を持つダイヤモンドをご用意しています。

 

アトリエへお越しの際は、お二人が運命を感じるダイヤモンドとの出会いを、ぜひお楽しみに!つくり手一同、心よりお待ちしております。

 

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