【指輪へのこだわり】鍛造にミルグレインを施した結婚指輪

鍛造製法のミルグレイン加工


鍛造コレクションの中には、ミルグレインが入った指輪があります。整列して並んだ細かい粒の装飾を‘ミルグレイン’と言い、永遠やたくさんという意味があります。お二人の末永い幸せを願ったり、家族の繁栄を表した縁起のよい技法です。

今までのithのコレクションには、ミルタガネとおたふく鎚という道具を使ってミルグレインの加工を施していましたが、鍛造コレクションでは、旋盤という機械にロレットという道具をセットしてミルグレインを指輪に入れていきます。

ロレットはジュエリー工具として市販されている、先端に丸い窪みがついたローラーが回転する仕組みの道具です。鍛造コレクションで使うロレットは、購入したものを旋盤に取り付けて使うために職人が道具を加工しています。



ミルグレインが主役の結婚指輪


鍛造コレクションの中で、ミルグレインの装飾をデザインの主役にした指輪が2つあります。

手作業で1粒ずつ入れるミルグレインの装飾は、職人の繊細な作業で施されますが、旋盤を使って入れるミルグレインはまっすぐでゆらぎのないライン、一粒ずつがはっきりとした大きさで、鍛えて硬い金属表面に整然と並ぶミルグレインは、手仕事とは違った輝きと強度を発揮することができるという特徴があります。



Pianissimo《ピアニッシモ》


プラチナの指輪の中央に1周、イエローゴールドの指輪には3周にミルグレインが入ったデザインです。

ピアニッシモとは、音楽用語で‘できるだけ小さく’という意味があります。ゴールドの幅の細い指輪の表面に、ミルグレインをできる限り密接して並べた部分が名前で表現されています。

デザインの開発段階では、当初2.5mmの太さにしようと考え試作をしていましたが、ミルグレインがない部分の隙間が目立ち、バランスが思っていたものとは違う出来上がりになったため2.0mmで試作をつくり直し、幅に対してできる限り密に3本並べることで、理想としていたデザインが完成しました。

まっすぐに入る旋盤加工のミルグレインだからこそ、ラインが一直線で、粒が揃って綺麗な仕上がりになっています。ダイヤモンドもできる限り5つが近づいて留まるように、繊細な共有ヅメで留めました。

Pianissimo《ピアニッシモ》コレクション





Amabile《アマービレ》


1つは両サイドにミルグレインとヘアラインの加工、もう1つは片側にミルグレインと飾り模様が入ったデザインです。


音楽用語で‘愛らしく’という意味のあるアマービレは、丸い装飾が指輪の上で跳ねているようなかわいらしい見た目です。大きさの違う丸い飾り模様は、波しぶきやさざなみをモチーフにしています。いくつも飾りの密度や大きさ、3列にしたり2列にしたりなどの試行錯誤をした末に、‘愛らしい’という表現にぴったりの模様が出来上がりました。

Amabile《アマービレ》コレクション



美しいミルグレインをつくるために


ミルグレインの美しい装飾を入れるために大切なことは、準備です。指輪のベースとなる幅、厚みの正確さがなければ、一直線で整然と並ぶミルグレインは完成しません。

ものづくりの精度にこだわり、鍛造と切削技法を使ってお仕立てするから出来上がるミルグレインは、手仕事とはまた違った魅力があります。


つくり手  高橋亜結


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