結婚指輪を探して、ithに訪れてくださったお二人。
「シンプルが好き。でも、ほんの少しだけ個性がほしい」
そんな想いを大切にしながら、たくさんのリングを試着されました。
お二人の指に“しっくり”くるかたちを探して
最初は、シンプルなストレート形状の指輪をいくつか試着。
けれど「少し寂しいかも」と感じられたそう。
そこから、動きのあるデザインへ。
カーブが生まれることで、指になじむ自然な美しさがありました。
その中で出会ったのが、《コンモート》。
柔らかに折り返すV字のラインと、指に吸い付くような薄さに、
思わず「これが一番しっくりくるね」と自然に声が重なりました。
“メーゼ加工”の光り方に惹かれて
デザインが決まり始めたころ、
もうひとつ心を動かしたのが“表面の質感”でした。
いくつかの表面加工をご覧いただく中で、
お二人が特に惹かれたのが“メーゼ加工”。
職人の手作業による細やかなきらめきが、
手の動きに合わせてやさしく光るその表情に、
「この繊細さがいい」と口をそろえてくださいました。
もともとは鏡面仕上げの《コンモート》。
そこにアレンジとして“メーゼ加工”を取り入れ、
お二人だけの表情を加えることにしました。
鏡面の上にそっとマットを重ねるように、
V字の折り返し部分には、あえてほんのり鏡面を残して。
“メーゼ”の穏やかな輝きと鏡面の光が溶け合い、
手もとにやさしいグラデーションが生まれました。
素材はそれぞれに、“らしさ”を映して
素材は、男性がプラチナ、女性がイエローゴールド。
同じデザインでありながら、
それぞれの雰囲気を映すように仕立てました。
並べると確かにお揃いなのに、
指にのせるとお二人の個性がふわりと浮かび上がります。
そして何より大切にされたのは、“着け心地”。
お年を重ねても自然に馴染み、
毎日にそっと寄り添ってくれるように——
《コンモート》の薄さとやわらかなラインが、
その願いを静かに叶えてくれました。
内側に込めた、お二人だけの秘密
指輪の内側には、お互いの誕生石を交換こして留めました。
見えないところで寄り添い合う、小さな輝きは
まるでお二人の関係そのもののようです。
刻印には、今夢中になっているドラマにちなんで
フランス語でメッセージを。
男性は「心からありがとう」。
女性は「永遠に」。
これからの日々の中で、指輪を見るたびに
今のこの瞬間を思い出せるように——
そんな願いが込められています。
これからも、指先から寄り添うように
シンプルだけれど、
お二人のこだわりが詰まった《コンモート》。
薄さも、質感も、光の表情も、
すべてがお二人らしく調和しています。
この先、年月を重ねても、
ふと指を見たときに今日の気持ちを思い出せるように。
この指輪が、いつまでもお二人の毎日に
寄り添っていきますように。
つくり手 黒坂
