通りがかりに見かけたithが気になり、
「一度見てみようかな」とお電話をくださったのがはじまりでした。
男性の目に飛び込んできたのは、
「彼女、リボンが好きなんです。
似合いそうだなって思って」
そう話すお声には、少し照れたような、
でもまっすぐな優しさがにじんでいました。
その日は、婚約指輪探しの初日。
「本当に何もわからないまま来ました」と
何度もおっしゃりながらも、
お相手さまのことを嬉しそうにお話ししてくださいました。
甘くて特別な22日
ショートケーキがお好きなお二人にとって
毎月22日は特別な日。
カレンダー上でいちご(15日)が上に乗る22日は
“ショートケーキの日”だと教えてくれました。
冬に記念日が多いお二人だそうで、
「冬以外にも自分たちの特別な日を作りたい」
という男性のお気持ちから、
夏から秋の22日を目指して
プロポーズの準備を進めておられました。
最初に惹かれた、そのリボンに想いを結んで
そんな風に、お二人の物語から始まった指輪選び。
お相手さまのことを想いながら、
ひとつひとつの指輪をとても丁寧に見てくださいました。
選ばれたのは、やっぱり最初に惹かれた指輪。
“お二人の絆を結ぶリボン”をイメージした《リュバン》でした。
くるりと巻かれたリボンの形には、
“これからの人生を共に歩むお二人の心を結ぶ”
という想いが込められています。
そして、リボンを形どるように添えられた“ミル打ち”は、
まるでたくさんの人たちが、
お二人の幸せを祝福してくれているかのよう。
指先に光る小さな粒ひとつひとつに、
あたたかな願いが宿っています。
ダイヤモンドに込めた、特別な意味
“意味”を大切にして選ばれました。
お相手さまが普段使いしやすいようにと、
大きすぎないサイズ感をご希望され、
最終的に出会ったのが、“0.220ct”のダイヤモンド。
愛を伝えるお日にちとおなじ数字です。
天然の鉱石から丁寧に磨き出されて輝くダイヤモンド。
いつでも理想通りの数字が見つかるとは限りません。
「偶然この数字のダイヤに出会えたのは、きっと縁ですね」
そう嬉しそうに微笑まれていたのが印象的でした。
また、選ばれたダイヤモンドには
「H&C(ハート&キューピッド)」という絵柄が隠されています。
「目には見えないけれど、
僕たちを見守ってくれるキューピッドがここにいるみたい」
と、じんわりと感動されていた姿が今でも心に残っています。
世界にひとつだけの、お二人の《リュバン》
内側には、男性の誕生石であり、
お相手さまのお好きなピンク色の“トルマリン”をそっと添えて。
ちょうど男性の誕生月と同じだったことも、
運命のような偶然でしたね。
「いろいろなブランドを見ましたが、
やっぱりithがいちばんでした。
最初に感じた直感を信じてよかったです」
そうお話ししてくださった笑顔に、
私も胸がいっぱいになりました。
指輪を受け取った、その日
ご納品の日はプロポーズ予定日の前日。
箱を開ける手が少し震えていたのは、
きっと、いよいよその日が近づいてきた証。
「実はこの指輪を渡す日から117日後が
ちょうど僕たちの記念日の1月17日になるんです」
と、嬉しそうに教えてくださった男性。
プロポーズに選んだ日と特別な日が
自然とつながっていたことに、
ご本人もとても驚かれていました。
プロポーズは、初めてデートをした思い出の水族館で。
手紙と動画、そして花束もご準備され、
一世一代のプロポーズを目前にとても緊張しておられました。
これからも、このリボンとともに
プロポーズは、見事大成功。
その後すぐにお相手さまと結婚指輪のお話をする中で、
「ithのこと、全部話しちゃいました」
と嬉しそうにご報告くださいました。
お二人の未来を結ぶ、《リュバン》の指輪。
そこには、お相手さまのことを想いながら
大切に、そして丁寧に積み重ねてきた、
たくさんの“選ぶ時間”がありました。
どうか、これからもこの《リュバン》が、
お二人の絆をしっかり結んでくれますように。
今度は、お二人で結婚指輪のお話をしに来ていただける日を、
楽しみにお待ちしております。
つくり手 黒坂