8周年、ちょっと長めの小休止から戻りました。

ithは今日、6月4日で8周年を迎えました。

今までアトリエへお越しくださった一人一人のお客さまと、仲間たちに支えられ9年目をスタートさせます。今までもこれからも、ithを身近に感じてくださる人が少しでもいたら嬉しいです。

 

記念日である今日は、ithのはじまった最初の頃の原点と、近況を伝えたいと思います。

 

 

‘お客さまが本当にいいと思える指輪をつくりたい’という気持ちで2014年にはじまったithは、吉祥寺の路地裏にある小さなアトリエでした。

 

「今日はお客さん来るかな?」と思うくらいののんびりした毎日で、週末にぽつりぽつりと入ったオーダーを平日に制作、ご納品。と私一人が指輪に携わっていました。

 

ithをはじめるまでは職人としてジュエリーの制作をしていた私は、人と話すことよりも、ものと向き合うことのほうが好きで、接客は苦手だし向いてないと思っていました。でも、アトリエを訪れるお客さまと、指輪をどんなかたちにしたいか、とことん話し合ってデザインを決めたり、難しい要望にどうやったら答えられるかを真剣に考えたりすることは、制作だけを担っていた職人の頃にはない、喜びとやりがいがありました。

 

腕のいい職人は世の中にたくさんいる。自分は技術だけを磨いて職人として生きていくのでいいのかな?と未来像に迷いを感じていたこともありましたが、一組一組のお客さまと試行錯誤しながら過ごす毎日の中から、なんとか私らしい道を見つけられたような気がします。

 

さらに、はじまったばかりの頃の試行錯誤、本気で頭をぐるぐる回転させて考えながら指輪をつくるということが、今のithの‘お客さまへ寄り添う’という精神にも繋がっていったように思います。

 

ただお客さまの言うことを聞いてつくるのではなく、一緒に悩んで、考えて、いいものをつくるというのが、ithの土台になっていると私は考えていて、以前担当した一人のお客さまから「接客っていう感じじゃない」と言われた言葉は、私なりのやり方を褒めてもらえたようで今もずっと頭の中に残っています。

 

この原点である‘お客さまへ寄り添う’ということを真剣にithに関わるみんなで、9年目の今だからこそ改めて大切にしてきたいです。ithの変わらない、変えてはいけない価値がここなんじゃないかな、と思っています。

 

 

そして、最近のこと。私ごとですが、去年夏から出産と育児のためアトリエを留守にしていましたが、数日前にithへ戻ってきました。

 

自分の人生、寝ても覚めてもithのこと一色だった去年まで。産休に入ったその日からは、張り詰めていたものが緩んで、ふっと気持ちが軽くなったような感覚でした。ithから離れて見える景色が新鮮で、発見もたくさんありました。

 

まずは、ちょっと長めの小休止中にむくむくと膨らんだ、指輪やアニバーサリージュエリーのアイデアをかたちにしたいと思っています。世の中にジュエリーのデザインは溢れているけれど、今の自分だから生み出せるものをつくってみたいな、と考えています。

 

職人として10年近く様々なジュエリーを制作してきた経験、キラキラする宝石が小さい頃から大好きで、妊娠中もコツコツ学びを進めていた宝石学の知識、体のむくみや体重が変化しやすい出産育児期の体験。それらを組み合わせるから生まれる、新しいものづくりができるような気がしています。

 

 

原点であるithのはじまりの頃の良さを守っていくことと、新しいチャレンジをしていくこと。両方が私の役目だと思っています。

 

少し気が早いけど、来年私は40歳、ithは10年目。毎日を濃く、楽しく歩んできた、と振り返ることのできる1年にしたいです。

 

 

ith 高橋亜結

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