初めてアトリエでお会いしたあの日から、
早くも一年が経ったのですね。
お二人とお話しする時間はいつも笑いが絶えず、
時間を忘れては指輪についてたくさん語らいましたね。
遠い昔からの友人かと思ってしまうほど、
楽しい思い出で溢れています。
そんなお二人だから作ることのできた、
運命的な出会いから始まる"特別"な結婚指輪のお話です。
指輪探しの第一歩
ご結婚に向けて、指輪選びから慎重にスケジュールを立てていたお二人。
最初にアトリエでお会いした日も「まずは下見から」。
どんな指輪が好きなのかを探すところから始まりました。
「今まではこういうデザインが良いなと思った」
「手作りの指輪もいいと思っていて」
「何か他にはない、”特別”なデザインにしたい」
お二人の眼差しはとても真剣で、
リング一本一本の特徴やデザインを大事に見比べ。
指輪が出来上がるまでのエピソードから
デザインに込められた想いまで熱心に耳を傾けてくださり、
「お互いの大事にしたいポイントがどこにあるのか」
いつのまにか時計の針が5周してしまうほど
時間を忘れて話し合いましたね。
デザインや着け心地だけではなく
指輪の意味合いや着けるシーンなど、
実は様々な見方ができる結婚指輪という存在。
"大好きな指輪を見つけたい"というお二人の熱い想いが
ひしひしと伝わってきていました。
様々なデザインがある中で見つけたのは、
格子の意味を持つ鍛造製法の《レティコロ》。
お二人の目が輝いたあの瞬間を今でも鮮明に覚えています。
最初に惹かれたのは指輪の「作り」の部分。
ものづくりにも通づるお二人のお仕事も関係して、
レティコロに込められた格子状の彫り模様と
480もの連なる面が織りなす「ダイヤカット」の存在は
お二人の職人ゴコロをくすぐる、大事なポイントになりました。
当時女性は大事なご用事を控えていたこともあり、
指輪探しは一旦お休み。
またお会いできた時にしっかりこの熱量が思い出せるように。
小さい発見から大きな感動までたくさんメモを残しては、
アトリエでお話ができる日を楽しみにお待ちしていました。
想い深まる、再会の時間
お二人が再度アトリエの扉を叩いてくださったのは、
半年の月日が経った頃。
「レティコロを超えるものに出会えていません」
という言葉とともに叶ったお二人とレティコロの再会。
「やっぱりいいね」と笑いあうお姿に
最初の出会いよりも深い想いを感じました。
他にはない”特別”なデザインを叶えたのは
男性の素敵なアイデア。
女性へ気持ちをお伝えした4月29日が
「藤の花の日」であることをお話ししてくださいます。
リングの内側に藤の花のイラストをお入れすることで
大事な思い出はもちろん、
レティコロの「格子」に咲き誇る藤の花をイメージして
「藤棚」の意味を込めることに。
お二人ならではの"特別"な2本が出来上がりました。
2本のリングを重ねて浮かび上がるのは、
それぞれの藤の花が描く優しい愛の形。
見えるデザインだけでなく、意味も内側も思い出も
お二人が一緒に過ごしたからこそ見つけることのできた
間違いなく、唯一無二の指輪となりました。
"最高"の仕上がり
約2ヶ月の時を経て
完成した指輪とのご対面の日。
素敵な指輪が完成し、早くお見せしたいと思う気持ちと
緊張で気持ちがぐるぐるしていたのはここだけの話。
リングボックスを開いた瞬間目を輝かせたお二人の瞳に
心からの安心と、私も心が躍ったのを覚えています。
指に通して、藤の花を見て、2本重ねて浮かぶハートを見て。
完成したリングを余すことなく堪能してくださいました。
「最高です」とまっすぐに目を見て伝えてくださったお二人。
指輪だけではない普段のお話や趣味のお話など、
アトリエでお話できるのはしばらくおあずけかと思うと
寂しいですが、またお会いできる日を楽しみに。
お二人の担当として見届けることができ、
私もとても幸せでした。
これからの永いご結婚生活が、
いつまでも幸せな思い出で溢れてくださいますように。
今年の4月29日はどんな1日になりましたか?
素敵な思い出ができましたか?
いつか、お話が聞けるのを楽しみにしています。
またいつでも遊びにいらしてくださいね。
お話のストックをたくさん用意して、アトリエでお待ちしております。
つくり手 畑中