2025.07.02 ものづくり

【つくり手指輪制作ブログ#7】 天の川のように煌めくスターダスト加工

こんにちは、つくり手の前堂です。

 

私たちithのつくり手が、工房でリアルな指輪づくりを学ぶ様子をレポートする《つくり手指輪制作ブログ》シリーズをお届けいたします。

> 詳しくは イントロダクション記事 をご覧ください

 

今回は《スターダスト加工》を施す工程について、職人の新居さんに教わった模様を綴ります。

 

ぜひお付き合いください。

スターダスト加工の魅力

まずは《スターダスト加工》の特徴と、その魅力についてお話しいたします。

 

《スターダスト加工》とは、ダイヤモンドの先端を指輪の表面に打ちつけて細かい凹凸をつくる加工で、少しざらっとする触り心地が特徴です。

 

つや消し加工のひとつですが、凹凸に光が反射すると星屑(スターダスト)のように細やかな輝きになり、ダイヤモンドとは違う華やかな印象を味わえるテクスチャです。

 

手元を動かす度にキラリと反射して輝くのも魅力ですね。

 

 

 

 

こちらは《スターダスト加工》を取り入れたコレクションの〈コンビ

 

クラフトらしさが感じられるテクスチャなので、「少し個性的なイメージにしたい!」という方にもぴったりな加工だと思います。

 

また私にとって《スターダスト加工》は、つくり手としてアトリエで指輪と向き合う中で美しさを知り、惹かれた加工の一つです。

スターダスト加工に使用する工具

《スターダスト加工》に使用する工具はこちら。

 

 

 

 

工具の先端に人工ダイヤモンドがついており、ダイヤのキューレット部分(尖っている箇所)を指輪の表面に打ちつけるようにして加工を施します。

 

そのため、先端が高速で前後運動する仕組みになっています。

 

ダイヤモンドは鉱物の中で一番固いものなので、指輪に打ちつけることで、点・点・点...と細かく凹凸を作ることができるのです。

新居さんのお手本

まずは、新居さんのお手本を見せていただきました。

 

《スターダスト加工》を入れる指輪は全体に加工を入れることよりも、部分的に加工を入れることのほうが多いそうです。

 

そのため、「不要な部分に加工がはみ出してしまわないように、もしはみ出してしまった時にすぐ分かるように、加工を入れない部分には赤いマーカーで目印をつけて綺麗に仕上げる工夫をしているんだ。」と加工のコツを教わりました。

 

 

 

 

工具の先端を指輪に打ちつけて少しずつ煌めく凹凸を作っていくため、《スターダスト加工》を入れるのにはとても時間がかかります。

 

加工を施す範囲によってかかる時間は変動しますが、黙々と打ち続けて指輪一周に綺麗に加工を施すのに、気がつけば1時間ほど時間が経っていました!

 

「小さな “点” を無数に打っていく加工だから、もちろん時間はかかるけど、密に美しく加工が入った時の煌めきは格別なんだよ。」と新居さんが嬉しそうに話してくれました。

 

いざ実践!

 

 

今回は、形を整えた〈アレグロ〉の片面に《スターダスト加工》を施すことにしました。

 

(指輪の形を整える手順については、コチラをご覧くださいませ。)

 

もう片面と指輪の側面は加工をしないので、赤いマーカーを塗って加工する範囲を明確にしていきます。

 

 

 

 

これで加工を施すための準備が整いました。

 

実際に《スターダスト加工》に挑戦する前に、別の練習用指輪へ試しに20秒ほど加工を施してみます。(下の写真)

 

少しの時間で沢山打ちつけることができるので凹凸がキラっとして見えますが、まだまだ下地の鏡面部分が見えますね。

 

この鏡面の部分が見えなくなるまで何千回、何万回と密に打って加工を重ねることで、美しい煌めきになることを改めて実感しました。

 

 

 

 

新居さんから教わった《スターダスト加工》を美しく施す時に欠かせないポイントは3つ。

 

・加工範囲の際ギリギリまで打つこと

・凹凸の量がムラにならないように密に打つこと

・同じ角度だけで打たないように様々な角度から打つこと

 

教わったポイントを踏まえて、いざ実践です!

 

 

 

 

実際に手を動かしてみると、高速で動く工具の先端を制御して加工範囲からはみ出さないように工具を打ちつけていくのは至難の技なのだと実感しました。

 

工具を使いこなすのにも技術と集中力が必要なのです。

 

アレグロ〉の形は加工する面が段々と細くなっていくので、上手くコントロールができずに唸りました。

 

 

 

 

一番難しかったのは “同じ角度だけで打たないように様々な角度から打つこと” です。

 

「同じ角度ばかりで打たれていると、ある方向からはキラキラと見えても、別の方向から見た時にうまく光が反射せず、暗い凸凹に見えてしまうんだよ。」と解説してくれた新居さん。

 

実際に指輪の煌めきを確認しながら、打つ方向を変えて調整する。

 

この繰り返しが美しい煌めきに仕上げるのに必要不可欠なのだと、職人ならではの視点を知ることができワクワクしました。

 

 

教わったことの意味を噛み締めつつ、黙々と加工を重ねてやっと納得のいく仕上がりに辿り着いたころには、すっかり夕方になっていました。

仕上がり

じっくり時間をかけて仕上げた《スターダスト加工》がこちら。

 

 

 

 

 

指輪の形に沿って稜線を飛び越えないように、そして密に凹凸を打つことができました!

 

鏡面とスターダストの煌めきのメリハリが生まれ、良いコントラストになっています。

 

斜めの面に加工することで、“天の川” や “流れ星” のようにも見えます。

 

手を動かす度に細かい煌めきが目に入り、ウキウキと嬉しくなる指輪になりました!

 

 

 

 

小さな “点” を何万回も打ち続けることで生まれる《スターダスト加工》

 

実際に加工を施したからこそ、その美しさと魅力を更に実感することができました。

 

また、どんな角度から見ても美しく見えることを考え、指輪制作を行なっている職人たちのこだわりを体感でき、つくり手としてもとても嬉しい時間となりました。

 

 

 

つくり手が工房で学ぶリアルな指輪づくりを綴る《つくり手指輪制作ブログ》シリーズ。

今回は《スターダスト加工》についての記事となりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?

 

次回は《ピウマ》の彫りについてお話しできればと思っております。

 

是非、次回の記事も楽しみにお待ちいただければ嬉しいです。

 

つくり手 前堂

 

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