交際2年記念日にご入籍を予定していた二人は、「結婚指輪が初めて身に着ける指輪です」ととても緊張した面持ちでアトリエを訪ねてくださいました。
お話を伺ってみると、ジュエリーショップを訪れたのも、ithのアトリエが初めてとのこと。ご希望のデザインについても、 “とりあえず結婚指輪らしいもの” とイメージが漠然としていらして、特に女性はご自身に似合うものが分からないことに不安を覚えておいででしたね。
手探りで始まった指輪選びでしたが、さまざまなデザインを試着されるうちに、少しずつお二人のお好みやお悩みが明らかになり、その解消方法も見つかりました。そんなお二人の指輪ができるまでのエピソードをご紹介します。
比べて結びついた、お二人の大切にしたいことと指輪のデザイン
ご試着を進めていくと、ポイントになったのは装飾の有無でした。
どんなシチュエーションでも気にせず身に着けられることは、末永く身に着ける結婚指輪において大切だと気づいたお二人。全体のシルエットに個性があったり、装飾性の高いものは華やか過ぎると感じていらっしゃいましたね。
お二人が結婚指輪に求めているのは、“余計な装飾が何もない” こと。指輪を着け比べることで、お二人の中にあるイメージが具体的になりました。
中でもお二人が選ばれた《アンダンテ》は、まさしく王道と言える結婚指輪のデザインです。
“甲丸” と呼ばれる角のない丸みのあるかたちのため、なめらかに指を通り、着け心地もよいところもお気に入りのポイントとなりました。
そして女性にとってもうひとつ、ツイストが印象的な《メビウス ウーノ》が候補として残りました。
実は女性には元々お悩みがあり、ご自身の手の大きさを気にしておいででした。“果たして似合う指輪があるのだろうか？” と、密かに悩まれていましたが《メビウス ウーノ》を試着してみると、指輪自体にボリュームがあるためご自身の手とバランスがよく、お悩みがぐっと軽減したのです。
「しっくりきます！」
パアッと明るくなった、悩みを解消できるデザインを見つけた女性の表情が深く記憶に残っています。
その後もご試着を経て、やはりリング幅がある指輪がお手元に負けず、ご自身に似合うと手応えを感じていらっしゃいました。
お揃いであることも大切に
似合うデザインが分かった上で、お二人は “結婚指輪は可能な限りお揃いにしたい” と希望され《アンダンテ》をお仕立てすることになりました。
女性はご自身のお手元に合うようリング幅を増やすことで、お悩みポイントも解消することができました。
手打ち刻印とルビーで刻むご入籍の証
指輪の内側の刻印は、せっかくだからと、機械彫りではなく職人がひとつひとつ打刻していく手打ち刻印を選ばれました。
手仕事で施す刻印には、均質なレーザー刻印にはない息づかいが感じられます。しっかりとした書体と職人の手仕事を感じられる見た目を気に入ってくださいましたね。
文字を刻んだ向かい側には、ご入籍月の7月の宝石・ルビーをお留めしています。刻印と向かい合わせの配置がお二人のこだわりポイントでもあります。
プラチナのシンプルな指輪にルビーがアクセントとなり、お二人の指輪である証にもなりましたね。
お二人の素敵な笑顔が見れた、ご納品の瞬間
工房で指輪をお仕立てして、ついにご納品。この日はご入籍日でもありましたね。
ご入籍を済ませ、アトリエへおいでになったお二人は指輪選びをする前とは少し雰囲気が違っておりました。
緊張はしているものの、結婚指輪との対面にワクワクしているような明るい表情をしていたお二人。
そして、待ちに待った結婚指輪とのご対面の瞬間。
指輪を手に取るとお二人の表情がふわっと笑顔で柔らかくなっていきました。そんなお二人を見てつくり手の私も安心したのと同時にお二人に合う指輪をお仕立てすることができたことに嬉しくなったのを覚えております。
ご納品後も続くお二人とのお付き合い
ご納品から半年が経つ頃、メンテナンスのためにお二人が再度アトリエへお越しくださいました。
ご要望いただいた磨き直しとサイズ直しを終え、お二人へお返しすると、女性が「新品の頃みたい！」と輝きを取り戻した指輪の姿を喜んでくださいました。
半年間愛用してくださった指輪の風合いも素敵ですが、磨き直しをするとご入籍当時を思い出せるのも、またメンテナンスのよさだと思います。
現在は、どのような模様が指輪に刻まれているのでしょうか。
またいつか、メンテナンスでお会いできることを楽しみにしております。
