2024.12.06

サプライズプレゼントのために
男性一人で選ばれた
タンザナイトの結婚指輪

POINT

  • 男性がお一人の結婚指輪選び
  • シンプルだけど個性も感じる指輪のデザイン
  • こだわりはタンザナイトの石留め方法

ある日、男性がたったお一人でアトリエでお越しになりました。ご相談内容は、“結婚指輪” 探しです。

婚約指輪のサプライズプレゼントはよく耳にしますが、結婚指輪のサプライズ計画のお手伝いは、私にとっても初めての経験です。お話を伺い、緊張とワクワク感が込み上げました。

 

普段あまり馴染みのないアトリエの雰囲気に少し緊張気味の男性。

詳しく伺うと、プロポーズの際に婚約指輪の代わりに結婚指輪を贈ることがお二人の間で決まっており、デザインだけは女性に秘密で男性が選ぶ約束になっているとのことでした。

男性が想像するお二人の結婚指輪のイメージ

ご試着の前にデザインのイメージをお伺いすると「シンプルなデザインに、タンザナイトを留めたい」とすでに具体的なアイディアをお持ちでした。

 

ithのコレクションリングには、シンプルなデザインの中にもいろいろなフォルムがあり、ストレートをはじめカーブやツイストなど動きのあるものなど種類がたくさんあります。

 

 

男性と一緒にイメージを掘り下げていくと、サプライズでお渡しすることや、これから永く身に着け続けることを踏まえ「シンプルに越したことはない」というお考えがまとまりました。

こうして、フォルムに特徴があるものではなく、真っ直ぐストレートなかたちから選びたいとお話してくださいました。

シンプルなのにこだわりも感じさせる結婚指輪のかたち

「シンプルに越したことはない」とは思いながらも、お相手に気に入ってもらえる指輪を見つけるためにたくさん考えましたね。

 

その中でも男性がより心を惹かれたのは、初めて見るかたちをしていた《カランド》でした。

逆甲丸と呼ばれる、真ん中が少しくぼんだフォルムが特徴的な《カランド》。

「珍しい!」と興味を持たれご試着いただくと、柔らかなくぼみがお手元にも優しく馴染んでくれましたね。シンプルながらも少し個性があるデザインが、カジュアルなお洋服が多いというお二人によく似合いそうです。

タンザナイトを最大限活かした、特別なアレンジ

かたちが決まると、もうひとつのご要望である色石のタンザナイトを、どのようにお留めするかに話題が進みました。

 

いろいろなデザインの指輪を試着する中で、実は候補となるタンザナイトのあしらい方を見つけておられた男性。

 

イメージが掻き立てられたのは、《アルページオ》のダイヤモンドを3石を並べているデザインです。

宝石を並べることで指輪に華やかさがよりプラスされ、「タンザナイトだけよりも、ダイヤモンドと組み合わせる方がいいかも」という他の宝石との組み合わせも思いつくきっかけになっていましたね。

 

しかし改めて《アルページオ》をご覧になると、「石よりも爪に目がいってしまう」と、ピンと来ない表情をされていました。

 

原因は、玉飾りのような装飾性のある石留め方法でした。

《アルページオ》の石留め方法には、ミルタガネという工具を用いて地金を寄せ集め、爪の先端を丸く仕上げる “ななこ留め” が用いられています。

お相手の女性がお好きな宝石であることから、タンザナイトを結婚指輪に取り入れたいと考えておられた男性。ななこ留めはかわいらしいですが、タンザナイトを際立たせたい男性のイメージには合いませんでしたね。

 

特別な結婚指輪だからこそ、タンザナイトが持つ美しい澄んだ紫色を最大限に活かしたいもの。そこで、“伏せ込み留め”という別の石留め方法をご提案いたしました。

 

 

伏せ込み留めは、宝石を留めるための爪を作らず、宝石のエッジをぐるりと1周地金で覆い留める技法です。

 

「これなら!」と気に入ってくださった男性。


石数はイメージ通り3石のまま、ふせこみ留めに変更することで宝石がくっきりと浮かんでいるかのような納得のいくデザインになりましたね。

あえてタンザナイトの間にダイヤモンドを1石お留めすることで色のメリハリをより効かせたのも、男性のこだわりポイントのひとつです。

宝石の輝きを引き立てる質感選び

そして話題は、指輪の表面の質感選びへ。「シンプルに越したことはない」ということで、当初は王道であるつややかな鏡面加工をイメージされていました。

しかし、指輪のデザインや宝石とのバランスを見ながら、改めてご自身が求めるシンプルさを見直してみることに。

すると、マットな風合いの方が輝きのある宝石とのメリハリがつき、こだわりのタンザナイトがより際立つことに気づかれました。

少し艶の残るヘアライン加工により、こだわりの石留めとカランドの光の陰影も活きるデザインになりましたね。

 

指輪をお渡しするお相手様は、普段古着などをお召しになる方だそう。そう考えると少しカジュアルでもいいかもしれないと思ったことも、ヘアライン加工にした決め手のひとつでした。

いつもより特別なサプライズでお渡しする結婚指輪

ご相談後、気になって「よくサプライズはされるのですか?」と男性に伺ってみました。

 

普段からよくサプライズイベントの計画をされるそうで「プロポーズのときはどう渡そうか考えているんですよね」とお話ししてくださる男性の笑顔から、予想外にお相手を喜ばせることのがお好きなことがすごく伝わってきました。

そしてついに完成した結婚指輪。

その後どのようにお渡ししたのかお伺いすることは叶いませんでしたが、結婚指輪のプレゼントをとても喜んでくださったそうです。

きっとこれからもお二人の間には、サプライズイベントのたびに思い出が積み重なっていくかと思います。


たくさんの素敵な思い出が、結婚指輪にも刻まれていくことを願っております。

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