【ithのものづくり】ithの職人に尋ねる、手打ち刻印の魅力 -須藤 千晶さん / ジュエリー職人-

 

オンリーワンを叶える “手打ち刻印


ご結婚の証とも言える、結婚指輪婚約指輪

そんなかけがえのない指輪に特別感を高める選択肢として、ithではレーザーによる機械彫りと、職人の手仕事による“手打ち刻印”の2種類をご用意しています。

今回はithの工房で職人として活躍する須藤 千晶さんに、手打ち刻印の作業工程について詳しく教えていただきました。



職人の手仕事とは

-本日は、手打ち刻印についていろいろ教えて下さい! 早速ですが、職人の手作業で仕上げると伺いましたが、手打ち刻印は難しい工程ですか?

 

須藤:私はithの工房で職人として働くようになって、2021年夏で5年を迎えます。以前にもブライダルジュエリー制作を経験しており、職人歴はトータル7年ほどです。

手打ち刻印に限らずミスなく加工できるようになるまでには、練習が欠かせません。わたしは実際にお客様の指輪に手打ち刻印を施すまでに、毎日練習して1ヶ月ほどかかりました。

 

-すぐにはお客様の指輪には刻印できないのですか?

 

須藤:はい、職人は修練を経て制作技術を身に着けています。日を空けず身体が覚えるまではひたすら繰り返しますし、手打ち刻印も毎日練習し続けて習得しました。

ほぼ完成した状態の指輪に刻印を施すので、緊張感に耐えられるだけの技術はもちろん、本人にとっての自信も必要です。

 

-プレッシャーが掛かる工程ですね!

 

須藤:もちろん集中力は全ての工程に必要ですが、独特の緊張感がありますね。



作業の様子を見せてもらえますか?

-具体的には、どのようにして刻印しているのですか?

 

須藤:刻印工程は、日常動作に例えるとスタンプやハンコを押す動きに近いです。書類は金属製の指輪に、ハンコは刻印に置き替えるとイメージしやすと思います。

この刻印がハンコのような役割を果たします。持ち手にそれぞれ“L-O-V-E”とある通り、くちばしのような形をした先端を押し当てることで、指輪にそれぞれの文字が打てます。

 

-不思議な形、尾の長い鳥のようですね。

 

須藤:鳥に例えると、頭〜背中の部分が曲がっていますよね。

この形にすることで、指輪の環に刻印を垂直に押し当てられるようになっています。

-なるほど、この形だから指輪にぶつからないと! ところで、ハンコを真っ直ぐきれいに押すのって、案外難しいですよね?

 

須藤:お分かりいただけますか(笑) 難しいですよね。

さらに刻印の場合、金属にしっかりくぼみがつくよう、力を強く均等に加える必要があります。上下左右の位置合わせ、文字の太さにばらつきが出ないよう整えながら施すには、ひたすら練習あるのみです。

 

-たまに捺印をすると曲がったり掠れたりすることを思い出し、難易度のイメージが捉えられました。それでは、実際に打つ様子を見せもらえますか?

 

須藤:はい、ではまず指輪と刻印を持ちます。

指輪幅のセンターを捉えて、刻印を当てていきます。指輪の多くは指馴染みに配慮して、エッジに丸みを持たせてあります。丸めた部分に刻印がかからないよう注意が必要です。平らな面は比較的打ちやすいですが、面に丸みがつけばつくほど、難易度が上がります。

押し当てたら、どの部分も深さが均等になるよう、力を加えます。

こうして文字を刻んでいきます。

全ての文字を彫り込んだら、刻印を当てたことで端からせり上がったバリ(はみ出た余分な金属)を取り除き、最終磨きを行えば完成です。



職人が感じる、手打ち刻印の魅力とは?


-“手仕事の温もり”とよく耳にしますが、本当に人の手で作られていることを目の当たりにしました。改めて職人の立場から、手打ち刻印とレーザー刻印の違いはどんな点だと思いますか?

 

須藤:どちらにも良さがありますよね。お好きなフォントや、手書きの文字を転写させたい方には、レーザー刻印がマッチすると思います。均質な仕上がりを追求するならば、レーザーを用いた機械彫りに手打ちは敵いません。

手打ち刻印の場合は、一文字ごとの息づかいのようなものが魅力かと思います。ほんの僅かですが、職人ごとに文字間の取り方や仕上がりのニュアンスに違いが表れます。これは機械では表現できない点です。

ithはオーダーメイド工房なので、手打ち刻印との相性がいいのかな、とも思っています。

 

-印刷された文字と、直筆の違いのようなものでしょうか。

 

須藤:近いものがありますね。

そして、刻印する内容によって、ご依頼主であるお二人のムードが感じ取れます。レーザーor手打ち、イニシャルだけのシンプルなものから愛の言葉まで、指輪に込めた思いが伝わってきます。

人目に触れないものだからこそ、ご本人達は余計にじっくりご覧になるのではないでしょうか。

 

-確かに、秘密めいた特別感がありますね。

 

須藤:だからこそ、いつ見てもお二人が“作ってよかったな”と幸せを感じられる指輪を仕上げたいと思っています。



“一点もの” という特別感


インタビューの中で、実際に刻印を施す様子を見せてくれた須藤さん。指輪や工具を優しく丁寧な手つきで扱う様子が、とても印象的でした。

お客様のこだわりをかたちにする手打ち刻印は、職人にとっても特別な工程のひとつのようです。

特別感や一点ものへ憧れを持たれる方は、ぜひ一度手打ち刻印の風合いをお確かめください。

 

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