ものづくりを支える、ithのジュエリー職人インタビュー -吉祥寺工房 五十嵐恵さん-

2014年のオープン当初のithは、ジュエリー職人である代表・高橋亜結が切り盛りする吉祥寺の小さな結婚指輪アトリエで、お客様が本当に欲しい結婚指輪を作るため、接客と指輪制作を一人で行っていました。

アトリエ数が8つに増えた現在では、接客と指輪制作はそれぞれ専門のスタッフが担当。

アトリエでは“つくり手”が接客担当し、吉祥寺工房では職人が指輪制作に専念して、お客様それぞれのオーダーに沿って指輪をお届けしています。

今回は、ith吉祥寺工房のジュエリー職人である五十嵐 恵さんに、ithの指輪制作についてインタビューしました。




- ithとの出会いは、どのようなきっかけでしたか?


五十嵐:存在を知ったのは、当時Facebookに掲載されていた求人投稿です。

実は、2016年4月に別のジュエリー会社から新卒入社予定でした。怪我がきっかけで辞退し、夏に改めて就職先を探しているときに、ithに出会いました。

- 紆余曲折あってのご縁ですね。
最初の内定先でも職人で採用されていたのですか?

五十嵐:はい、職人半分・接客半分のような。

お客様ご自身が指輪を制作するスタイルの指輪工房で、指輪の作り方をレクチャーし、お客様が作った指輪をお直しして完成させる仕事です。やりたい仕事は当時からはっきりしていました。

- 学生時代から、職人として働くビジョンをお持ちだったのですね。
ジュエリー職人を志したきっかけはありましたか?

五十嵐:子どもの頃から絵を描くことが好きでした。

自然と美術系の進路を考えるようになった中学生の頃、絵画の道は険しいことに気づいて。視野を広げたら、彫金や金属工芸との出会いがありました。

作家育成のレクチャーも受けましたが、オブジェなどよりも、人の手に渡るものが作りたくなりました。

- 実際に働き始めて、イメージとのギャップはありますか?

五十嵐:実は、ithで職人としてキャリアをスタートしたのは2020年からでして。

約3年半は、職人ではなく“生産管理”の部門で、お客様のオーダーに沿って、制作工程の管理や資材の手配を行っていました。

- 希望の職人の仕事ではないのに、3年半も働き続けたのですね!
辞めたくなったりはしませんでしたか?

五十嵐:元々ポジティブなので、ずっと職人になりたいと言い続けつつ(笑)
通常業務を終えてから、制作の練習をしていました。
- 仕事のあとで、自主的に練習とは努力家ですね。
やってみて、生産管理の仕事にはやりがいが見出せましたか?

五十嵐:接客をする“つくり手” と、指輪を作る職人の間に入るのが、生産管理の仕事です。

黒子的な業務内容で、“出来て当たり前” と思われる役割です。それでも、指輪に携わることに変わりはなく、スムースに制作が進めば、チームプレーの連携のようなものも感じらやりがいも感じていましたね。

また、オーダー内容を把握するため、お客様情報に目を通していました。完成した指輪がお客様のお手元に届いた日のご納品写真を拝見すると、やはり張り合いを感じます。




- やはり、お客様の顔が見えると、嬉しいものですか?


五十嵐:はい、暮らしやストーリーが垣間見えると、指輪がただの“モノ” ではないことを感じます。

ithの指輪は受注生産なので、制作する時点で持ち主となるお客様が決まっています。完成するひとつひとつの指輪に、デザインを作り上げる過程や、お客様の思い入れが重なることで、指輪に特別な重みが生まれるように感じます。

笑顔で指輪を着けたお姿が見られると、率直に嬉しいです。お客様の存在を具体的に知ることで、指輪に対する特別感が深まりますね。

- ithで働いてみて、結婚指輪に対するイメージは変わりましたか?

五十嵐:はい!以前は“お揃い・シンプル・量産品” の中から選んで買うイメージでした。

ですが、ithでは“もっと自由なんだ!”と。デザインがお揃いじゃなくてもOKということに驚きました。

お揃いの指輪を身に着けたい気持ちと、それぞれの個性・センスの折衷案で、お互いを尊重できるのが素敵だと思っています。あと、年月を経てお子様の誕生石を加えたり、中には結婚指輪を複数選ばれる方もいらっしゃると知り、視野が広がりました。

- 視野が広がって、五十嵐さんご自身の好みに変化が生まれたりも?

五十嵐:そうですね、入社当時はコンビカラーのMartello《マルテロ》が好きでしたが、今ではGrave《グラーヴェ》の男性用がお気に入りに変わりました。



- さらに変化を遂げて、職人デビューを果たしてみていかがですか?

五十嵐:念願叶いまして(笑) 時間があっという間に過ぎていきます。

集中力勝負の仕事なので、気がつくとお昼、そして終業時間という感じです。作業に没頭する仕事のスタイルは、自分に合っていると感じます。

今は最終工程、つまり形が仕上がった指輪の表面にテクスチャーを加えたり、磨き上げて完成させる作業を担当しています。クリーニングでお預かりした指輪の磨き直すこともあります。

生産管理の業務で完成した指輪の検品も担当しましたが、クオリティに対する意識は、その頃以上に高まりました。

- 職人になってみて、意識に変化が生まれたのですね。
具体的にはどのように変わりましたか?

五十嵐:自分が作ったものをお客様がそのまま身に着けるので、“お客様がこの指輪を手にしたときに、どう感じるか” を強く意識するようになりました。

反面、以前はお客様の個人情報も含め、受注から納品までの全行程を俯瞰で見ていたところから、自分が担当する工程に一局集中するようになりました。



- 立場が変わって、責任を感じるポイントが変わったようですね。
職人の立場から見て、改めてithをどう思いますか?


五十嵐:ithの指輪は、たくさんの人が携わりゼロから制作しています。ひとつひとつの指輪をオーダー内容通り完成させるため、キャリアを問わず職人は常に技術を高める努力を継続しています。

指輪制作には、複雑で難しい工程も多く、中には日本国内でも限られた職人だけが持つ技術も存在します。そういう工程において、提携する工房を通じて腕の立つ職人さんにスキルを発揮していただく体制も整っています。そういう技術をお客様に提供できるのは、ithならではの強みだと思います。もちろん、複数の職人で工程を引き継ぐ難しさもありますが。

一組のお客様の希望を形にするために、アトリエでつくり手がご要望を伺い、形にするための手配を生産管理が担い、職人が技術を振るう。

お客様情報を管理しているファイルがありますが、受注いただいたときはペラペラですが、指輪が完成する頃にはパンパンに膨らみます。申し送りのメモが増えた分だけたくさんの人が携わって指輪が完成していく過程は、特別なものであることを感じさせてくれますね。

- ithでの活躍はもちろん、今後職人として今後の展望はありますか?

五十嵐:はい、自分で担える作業をどんどん増やしたいです。そして、最終的には一人で全行程をこなせる職人に成長していきたいです。

個人的には、指輪だけではなく他のジュエリーも含めて、お客様にお出しできるクオリティで制作できるように。そして、将来独り立ちしたいです。

ithでは、先輩はもちろん、協力会社さんの仕事からも学ぶことが多いです。固定概念が取り払われる機会も多く、知識や常識だと思っていたことが、どんどんリフレッシュされ刺激があります。

楽しみながら成長していきたいです。



インタビューを終えて


初めての就職先で、最初の3年半希望と異なる業務を担当しながら、自分の夢に向かって努力を続けていたという五十嵐さん。

置かれた環境から、最大限学ぶポジティブな姿勢と、キラキラと目を輝かせて話す姿がとても印象的でした。

お客様に直接お会いする機会がなくても、工房の職人たちは、完成した指輪を身に着ける方の存在を感じながら、日々指輪制作に勤しんでいます。

お客様に喜んでいただきたいという思いを、技術で形にするのがithの職人の仕事です。特別な思いを込めた、結婚指輪婚約指輪オーダーメイドに興味がある方は、安心してithの職人に指輪制作をお任せください。

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