ご来店時にお伺いしたのは「具体的なイメージがある」ということ。
河口湖でキャンプをした際に、女性へ気持ちをお伝えになった男性。
お二人の思い出の河口湖をイラスト刻印で表現したいというのがお二人の一番のご要望でした。
刻印したいイラストも事前に準備してきてくださっていました。
冬の夜の河口湖にちなんで、月と雪がきらめく逆さ富士のイラストを
指輪を重ねたときに見えるように、刻印することになりました。
内側にイラストを入れるには、指輪全体のフォルムも重要です。
指輪の形がお二人で極端に違っていたり、外側のデザインが内側に影響するような指輪では
イラストを綺麗に刻印することが出来ません。
イラストは、手のひら側の内側に刻印するので、
少なくとも、その部分はストレートフォルムになっている必要があります。
お二人のお好みとして、優しくカーブした形がお好みだったので、
刻印に必要な条件も、お二人のお好みも叶う《モデラート》をベースにすることに決まりました。
《モデラート》はリング幅もたっぷりあるので、
くっきりと鮮明に刻印することも可能です。
また、お二人は指輪表面へ加工するアレンジにも惹かれていらっしゃいました。
たくさんのサンプルリングをご試着いただいた際に気になったメーゼテクスチャと、
女性の指輪にはその部分を囲うようにミル打ちも加工することにしました。
テクスチャをアシンメトリーにアレンジをしたのは、
互い違いにすることで指輪同士が手を繋いでいるように見せるため。
イラストについてももう少しこだわりました。
お二人の手書きにてお互いの指輪に逆さ富士を、
富士山の周囲には、男性の指輪に雪が降っている様子を、
女性の指輪には夜に月や星が輝く様子を描きました。
お二人の指輪を重ねてこそ現れるイラスト。
お二人ならではのアレンジで、世界に一つだけの結婚指輪が生まれました。
お二人が指輪について真剣にお話しをされながら、
少しずつデザインが決まっていく様子は、私自身非常に嬉しかったことを覚えています。
お二人の想いやこだわりを細部にまで込めて、素敵な指輪に仕上がりましたね。
指輪を目にしたときに、お二人がたくさんの時間をかけて指輪について一生懸命考えたことを
思い出していただけたら嬉しく思います。
つくり手 櫻井