先日、絵画の話しをした。
風景であったり、人物であったり、描く対象は様々だが、突き詰めていくと
結局その人間の中にある<何ものか>を描き出しているということであり、
そして才のある者にとっては、それがたとえ年端も行かぬ子供であったとしても、
彼や彼女にはその何者か(答え)が最初からわかっていて、
それを具現化するための方法やテクニックを知っているかどうかで
カタチに落とし込めるかどうか違うだけだ、というような話しだった。
モノをつくるとき、人によりさまざまなアプローチがあると思うが、
自分自身の経験に即して考えても、それがジュエリーのような具体的なモノであれ、
サービスやビジネスのような無形のもの、抽象的なものであれ、
自分自身の中にないものはつくれないように思う。
だから、何かをつくる際には、自分や自分たちの中に何があるのか、
何をもっているか、できることは何なのかというように、
自分の内側に向き合っていくことが大切なんだと思っている。
もちろん自分に向き合うということは言う程簡単なことではなく、
先を急ぐあまり、外部の指標や一般解を答えとして良しとしたり、
逆に単なる自分の思い込みをそれが自分たちの答えだと安易に決めつけ、
それ以上深く掘り下げていくことを怠ったり、という過ちを犯すこと日常茶飯事。
そのうえ凡人たる私にとっては、ストレートに答えを見いだせることなどなく、
絶えず外部の知識や情報に積極的に触れ、学びながら、さらに内側にある答えと、
その表現の仕方を見いだすことに必死になってもがく、という状況を日々繰り返している有様でもある。
とはいえ、ithがつくる商品においてもその活動全体においても、
性懲りもなくそんな模索と試行錯誤を繰り返しながら、
自分たちの内側にある<答え>を突き詰め、探していきたいと考えている。
自分たちの内側にあるものが、豊かで、より普遍的なものであってはじめて、
お客様の中にあるはずの<答え>探しのお手伝いができるのだろうから。
工房でひとり作業に向き合う職人を眺めながら、そのようなことを思う。
<ithプロデューサー・吉田>