指輪はとても繊細で小さな装飾品。
けれども思いをもって仕立てられた指輪には
自分たちの生き方や価値観があらわれます。
自分自身の人生を投影する
「仕事」に関わる商品をヒントに、
世界に一つのオリジナルな指輪
を生み出した事例をご紹介します。
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ヴィンテージ眼鏡をヒントにデザインを発想
アクセサリー使いがおしゃれなお二人に、
特別な彫り模様をお入れした、こだわりの結婚指輪をお仕立ていたしました。
職人の手仕事の風合いが強く残るリングがお好きなお二人。
特に、リング表面に彫り模様を施したリングを気に入ってくれました。
はっと何かに気づいたのは男性。
“そうだ!” とバッグから取り出したのは
たくさんのヴィンテージ眼鏡。
しなやかな細いフレームに、繊細な彫模様が細部まで彫り込まれた、とても素敵な眼鏡がずらり。
眼鏡のセクトショップを営んでいるのだと話してもらい、海外などで集めたという、ヴィンテージ眼鏡に彫られた模様をリングに取り入れることにしました。
手仕事の“和彫り”技法で彫り模様をデザイン
眼鏡に彫り込まれた模様の中から気に入った彫りのパターンを取り出して、リングに落とし込んでいきます。
ひし形・縦の細かな彫り、お花のような形の模様の3点がお気に入りに。3種類の模様をリングにぐるりと彫り込みました。
彫り模様は、鏨(たがね)という道具で彫り込む“和彫り” という技法で彫られています。
規則正しい模様の連続ですが、よく見るとそれぞれの彫りに手仕事のあたたかさを感じます。ひと彫りひと彫りに、職人の心と緊張感もあわられています。
ミルグレインやマット仕上げでアンティークな風合いに
細く繊細な彫り模様入りの平打ちリングと、
使い込んだようなアンティークのような風合いのマットな仕上げを施した甲丸リング。
メンズリングは異なるふたつのリングをひとつに張り合わせせた個性的なお仕立て。
小柄な女性は彫りの繊細さを大事に、細めの幅でリングをお作りしました。
リングのエッジの部分には、ミルグレイン加工を施しました。彫り模様とミルグレインの繊細さが、お二人ともとてもよく似合います。
“ミルグレイン” とは、ミル鏨で小さな丸い粒を連続して加工する装飾技法のひとつです。
ミルグレインをお入れしたことで、リングの縁がくっきりとして、より存在感ある仕上がりになりました。
リング側面のテクスチャーは、優しく深みのある大切に使い込んだアンティーク品のようにマット仕上げ。そして、お揃いでルビーひと粒ずつの石留めを。ゴールドの色味とルビーの赤がとってもよく合いますね。
生業からインスピレーションを受け誕生した
世界でひとつのマリッジリングが完成しました。
ふたりの絆を強く結ぶ、特別な存在となりますように。
デザインを一から考えていったアトリエでの時間が、お二人の思い出のひとつとなりましたら、私も幸せです。