シンガポールのつくり手・Keemが体験した“日本のものづくり”
ithはシンガポール・台湾にもアトリエを構えています。今回はithシンガポールアトリエからつくり手のKeem(キム)が、吉祥寺の工房で受けたものづくり研修について書いたブログ記事を翻訳してご紹介します。
海外のつくり手たちは、made in Japanのものづくりや、ithの魅力について、どうすれば現地のお客様に伝えることができるか日々模索してきました。とてもまっすぐで勉強熱心な、私たちの海外アトリエの仲間について少しでも知っていただけたら嬉しいです。
シンガポールから日本の吉祥寺へ
Konnichiwa!
ithシンガポールのKeemです。
先日、日本の工房を訪れ、職人から直接ithの指輪づくりを学ぶチャンスに恵まれました。
職人たちが金属に命を吹き込み、お客様のアイデアを一生もの大切な指輪に変える様子を目の当たりして、とてもエキサイティングでした。魔法のような職人技を、皆さんへ少しでもお見せできたらと思っています!
職人の技術を目の当たりにして思うこと
ithでは、全てのつくり手(接客担当者)が数ヶ月にわたる研修を受け、お客様へ最善のサポートを行うために知識を深めています。そこで私たちは、指輪がどのような制作工程を経て、どの技術を用いられるかを学びます。
でも…百聞は一見に如かず、ですよね?
ithの心臓部とも言える工房は吉祥寺にあり、10年間指輪を作り続けています。今回の研修では、工房長の石川さんに案内してもらいました。(なんという名誉!)
研修中、石川さんは様々なテクスチャーが指輪に施される様子を実演してくれました。ひとつひとつ慎重なストロークから模様が生まれる様子を、私は感嘆しながら見つめるばかり。
石川さんの動作はリラックスしていながらも素早く正確で、すべての動作がまるで呼吸するかのように自然に行われていました。
「容易なこと」と「簡単そうに見えること」は、似て非なることだとも気づかされました。
石川さんは指輪の表面に施すスターダスト加工も実演してくれました。スターダスト加工とは、尖ったダイヤモンドをリングの表面に何度も打ちつけることで、細かい凹凸を重ねて生み出すキラキラと輝くテクスチャです。
実演を終えた石川さんは、私にも挑戦するように促しました。
「OK、そんなに難しくはなさそう!」と思ったら、大違いでした。
機械の速度をコントロールしつつ、手を安定させ、手の動きに集中する必要があり、テクスチャを施すのは容易な作業ではありません。
職人が5日で成し遂げることは、5年の練習から生まれるものだと気づかされました。石川さんは「悪くないね!」と励ましてくれましたが、 言うまでもなく、石川さんと私が施したスターダストには明らかな違いがありました。(笑)
お客様へ日本での体験を伝える
日本からシンガポールへ帰国してからは、研修前よりもお客様に自信を持って指輪の作り方を説明できるようになりました。
研修を受ける前は、指輪の作り方を知っていても、「なぜそうするのか」という理由については知識に穴がありました。
今ではお客様から 「これは作れますか?」 と尋ねられると、吉祥寺工房での記憶が鮮明に蘇り、指輪がどのように作られるかを詳細に説明できます。
職人たちは同じithのメンバーですが、物理的な距離があるため、ビデオ通話によるコミュニケーションが、シンガポールのお客様の意図を工房へ伝える唯一の方法です。それが、実際に会って職人や生産管理チームと交流することで、皆さんの笑顔や温かい人柄が思い浮かぶようになりました。
これからはithの指輪がどのように作られるかだけでなく、職人たちの情熱と誇りによって作られる指輪が持つ ”温もり” もお客様に伝えたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
もしお会いする機会がありましたら、ithの職人について気軽にお尋ねください。喜んでお話させていただきます!
Singapore Atelier: Keem