フレデリック・ゴールドシャイダー(Friedrich Goldscheider)。
19世紀末からボヘミアを発祥に
数多くの名作を残した名工。
彼の工房において制作された
美しい女性と黒いデスマスク。
ここから、喜びと悲しみ、生と死といった
人生にまつわる対極的な意味合い感じるのは
私だけではないのでなかろうか。
*
健やかなるときも、病めるときも、
喜びのときも、悲しみのときも、
喜びのときも、悲しみのときも、
富めるときも、貧しいときも、
これを愛し、これを敬い、
これを慰め、これを助け、
その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?
結婚式の牧師の挨拶として、
誰もが一度は耳にしたことがある台詞
だろうが真剣に想いを馳せて話しを
聞いている人がどれだけあろうか。
長い人生には、良きときもあれば、
そうでないときもある。
結婚生活においても、結婚前に抱く
バラ色の毎日でないことは、経験者
諸氏には良くお分かりのことだと思う。
健全な貴方は、幸せ絶頂の結婚に携わる者が
いきなり何をいうかと眉をひそめるだろう。
世の結婚関連サービスにおいては、
結婚のバラ色の側面にフォーカスをあてる。
これから新たな門出に発つ二人のために、
わざわざネガティブなことを言う必要もなかろう。
わざわざ自分自身の存在を危うくするようなこと
を言う馬鹿が在るものか。
確かにその通り。
けれども、生はあくまでもリアリスティックだ。
生きていく中には多くの試練が待ち受け、
人それぞれに生を享受した後死を迎えていく。
その現実へと旅立つ二人に、
祝福の気持ちを込めて指輪を紡ぎだす。
幸せの絶頂において語られる聖書の言葉が、
生と死を見つめる敬虔な心持ちを問いただすように、
二人と一生をともにする指輪も、
健やかなるときも病めるときも、
二人を支え、結びつける何かでありたい。
<ith よしだ>