2014.08.02 指輪制作日誌

色について


とかくシンプルな物事が好まれることの多い今日この頃であるが、


森羅万象様々なものを複雑系という構造の中でとらえる学問が、


自然科学や社会科学、さまざまな分野の研究の中で進んできている。




複雑系とは、分野によっていろいろと定義があるらしいのだが、


ありていに言うと、切り刻んで物事を理解するのではなくて、


多様な全体を多様な全体として、複雑なものを複雑なものとして


理解していくアプローチだそうだ。




細かいことはプロの研究者に譲り、


他ならぬ私たち人間の世界も、複雑系の代表格ともいえるのが、


そんな研究などないとうの昔から、私たちの先達は世界の


多様性や複雑さを、「色」という概念と言葉を用いて表現してきている。




例えば、日常的によく使うのは「色々」。


日本人であれば、たくさんの種類のものがあるんだな、と無意識の


うちに理解される。




十人十色、なんていう言葉も、ああ人それぞれね、と直感的に伝わるだろう。


どちらも多様な、という状況を、色という言葉を用いて表現している。




こんな言葉もある。




色に溺れる。色恋沙汰。




あまり良いイメージを抱かない方も多いだろうが、


恋愛や男女の情事の、えも言われない魅惑的で複雑な感覚を、


「色」という言葉で端的に表している。




さらに進んで、色即是空。


お釈迦様が唱えた般若心経の言葉だが、ここでいう色、というのは、


目に見えるすべての物事や存在、という意味だそうだ。




そのあとに空即是色とつながるから、


ここまでくると、複雑系なんてお釈迦様の現代解釈か、などと


ニヒリズんだ気持ちがもたげてきたりもする。




とまあ、掘り下げていくとだんだん難しい方向に


進んでいってしまうのでこの辺で切りあげるとして、


ithのジュエリーでもcolorsという色をテーマにしたラインを展開している。




宝石や貴金属それぞれが持つ魅力や美しさはもちろんのこと、


色で表現される世界の多様性、人々の想いや人生の様々な意味合いなどを


ジュエリーに託す、というのがテーマだ。

いつもより少しクローズアップして、色を見てみる。

目に見える美しさと共に、色にまつわるそれぞれのストーリーが見えてくる。
そんな宝飾品を纏う人が増えるといいなあと思っている。
Ith プロデューサー よしだ







イズの結婚指輪・婚約指輪コレクション

吉祥寺アトリエ

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