多くの女性はプロポーズの際に婚約指輪をもらえることを期待するもの。でも、そもそも婚約指輪ってどのような意味があるのでしょうか?
結婚指輪と何が違うのか?婚約指輪は本当に必要なのか?高価な買い物だからこそ迷ってしまう婚約指輪。
今回は、婚約指輪の意味や結婚指輪との違い、最近のトレンドなどをご紹介しながら、婚約指輪についての知識を深めていきたいと思います。
婚約指輪の由来
婚約指輪はいつ頃から贈られるようになったのでしょうか?
婚約指輪の起源や由来、日本に婚約指輪を贈るという習慣が定着したのはいつのなのか、婚約指輪の歴史を紐解いてみましょう。
婚約指輪の起源や由来
婚約指輪の起源はエジプト時代の象形文字まで遡ります。円のかたちは永遠に途切れないものの象徴で、当時は結婚を意味していました。また、古代ローマでは何かの約束をしたことを鉄の輪を指に着けて証明していました。
婚約指輪を贈る儀式は、紀元前1世紀の古代ローマ時代に始まった「婚約の際、相手に鉄の輪を贈る儀式」が由来といわれています。
当時のローマでは、婚約は結婚よりも重要視されていました。そのため、婚約時に力の象徴とされる鉄の輪を相手に贈ることで「相手と結婚の契約をする」という意味合いを表現したのだと思われます。
初期の婚約指輪は鉄製でしたが、後に金で作られるようになりました 。男性が自分のイニシャルを指輪に彫り、それを女性に贈るといったロマンチックなことを行う男性も多くいたそうです。
15世紀頃になると王族や貴族の間では婚約指輪の習慣が定着し、19世紀頃には指輪を贈るという習慣が一般庶民に普及し始めました。
日本に広まったのは?
19世紀から20世紀にかけて、欧米では婚約指輪を贈る習慣が広まっていきました。しかし、日本に婚約指輪の習慣が定着したのは、欧米よりもはるか後になります。
日本で婚約指輪を贈る習慣が始まったのは、戦後の1950年代後半〜1960年頃だといわれています。
高度経済成長期から人々の生活は豊かになったことや西洋文化が広まり、日本の一般の人々の間でも婚約指輪を贈る習慣が定着化したようです。
婚約指輪の意味
古くから「結婚の約束をする」という意味合いがある婚約指輪。
その他にも婚約指輪には大きく分けて3つの意味があるといわれています。
婚約の約束を形として残す
婚約はあくまでも約束であり、婚姻届のように明確な取り交わしはしているわけではありません。そのため、婚約指輪という形に残る証があることで、ふたりが永遠の愛を誓ったことを周囲へ明らかにすることができます。
ふたりの決意の象徴
長年付き合っていたカップルや同棲をしていたカップルだと、結婚をするのだという実感がなかなか湧いてこないもの。そのため、婚約指輪を贈る、あるいはもらうことで、自分たちは結婚するんだという気持ちが高まり、結婚への強い決意が出てきます。
ふたりの一生の財産
結婚指輪に比べ、少し高価な印象がある婚約指輪。長年愛され、大切にしている人も多く、婚約指輪を財産として子どもや孫に受け継いでいく人もいます。
婚約指輪はなぜ贈るの?
ふたりの結婚の約束を形にした婚約指輪。では、なぜ婚約指輪を贈るという習慣が定着したのでしょうか?
もともと日本にもあった!?
婚約の際に指輪を贈る歴史は、古代ローマ時代から始まったと先程記載したように、結婚を決めた際に何かを贈るという古くから多くの国で行われてきた儀式でした。
西洋でも日本でも、結婚が決まった際に新郎側から新婦側に品物やお金を贈る習慣がありました。日本では現在でも、男性の家から女性の家へ結納品や結納金を贈る場合があります。
結納金とは、「女性が嫁入りの準備をするためのお金」で結婚の準備金という認識で贈られることが多いようです。
また、結納品は地域によっても異なります。ここでは、大きく関東式と関西式の結納品をご紹介します。
<一般的な関東式の結納品>
・家内喜多留(やなぎだる)
柳の木でできた酒樽で、家の中に福がたくさん訪れるようにという意味が込められています。
・末広(すえひろ)
白い扇子です。扇子は「末広がりの繁栄」、白は「純潔・無垢の心」を表します。
・友白髪(ともしらが)
白い麻紐や麻糸のこと。夫婦がともに「白髪になるまで」長く添い遂げられるようにと、夫婦円満や長寿を願う意味があります。
・子生婦(こんぶ)
昆布。「よろこぶ」の意味が込められています。そして、昆布は生命力が強いので、子宝の象徴を表しています。
・寿留女(するめ)
スルメ。噛めば噛むほど味が出ることや日持ちがするので、「夫婦の末永い縁」を願う意味があります。
・勝男節(かつおぶし)
鰹節。
男性のたくましさの象徴として贈られるようです。
・宝包(きんぽうづつみ)
「結納金」のことを指します。男性側から送る場合は、「御帯料(おんおびりょう)」または「小袖料(こそでりょう)」という名前で、女性側から贈る場合は、「御袴料(おんはかまりょう)」という名前で贈られます。
・長熨斗(ながのし)
あわびを叩いて伸ばしたもの。あわびは、長生きをする貝ということから、延命長寿の願いが込められています。
・目録(もくろく)
結納品の品目数を記したもので、関東式では結納品の1つに数えます。
関東式では、全ての結納品を1つの台の上に載せます。
どれもめでたく、長寿や夫婦円満の願いが込められた物ばかりです。
つづいて、関西式の結納品をご紹介します。
<一般的な関西式の結納品>
・家内喜多留(やなぎだる)
関東式の「家内喜多留」と同じ意味があり、竹飾りと一緒に台に載せます。
・寿恵廣・末広(すえひろ)
関東式の「末広」と同じ意味です。亀の飾りと一緒に台に載せます。
・小袖料(こそでりょう)
結納金のことです。地域によっては、「帯地料(おびじりょう)」「帯料」といわれることもあります。松飾りと一緒に台に載せます。
・子生婦(こんぶ)
関東式の「子生婦」と同じ意味です。関西式では、俵型にしたものを積んで飾ることが多いようです。
・寿留女(するめ)
関東式の「寿留女」と同じ意味です。子生婦(こんぶ)と同じく、俵型にしたものを積んで飾るようです。
・松魚料(まつうおりょう・しょうぎょりょう)
肴料(さかなりょう)という意味で、食事代のことを表します。本来は「めでたい」ということで本物の真鯛を贈っていましたが、現在はその代わりに「肴料」として現金を包む場合が多くなっているようです。肴料は、梅飾りと一緒に台に載せます。
・高砂(たかさご)
尉(じょう・おじいさんのこと)と姥(うば・おばあさんのこと)の人形です。おじいさん・おばあさんになるまで添い遂げられるようにと、夫婦円満や長寿を願う意味があります。
・熨斗(のし)
関東式の「長熨斗」と同じ意味です。鶴の飾りと一緒に台に載せます。
・結美和(ゆびわ)
婚約指輪のことを指します。おめでたい漢字を使用しています。
関西式は、結納品の飾りが豪華なのが特徴で、関東式のように結納品を一つの台に乗せるのではなく、結納品のひとつひとつに、松竹梅などをかたどった水引を飾り、別々の台の上に載せます。ここが関東式と関西式の大きく異なる点です。
また、「目録」を結納品には数えないのが一般的という点も異なる点の一つです。
結納品の品数については地域や家によっても違いがあるので、ご自身のご両親や地域の方々に詳細を確認することをおすすめします。
このように、元々日本でも結婚が決まると夫婦円満や長寿を願うおめでたい品物とお金を男性の家から女性の家に贈られるという習慣があります。
現在でも結納の儀式を行うこともありますが、両家で食事だけを行うような形式に簡素化されてしまったり、省かれてしまうことも多くなっています。
婚約指輪も元々は、価値のある品物として男性の家から女性の家へ贈られたものでした。それが、時代とともに意味合いが変わり、現在は、「結婚してください」「これからの人生を一緒に歩みましょう」という思いを込めて、男性から女性へ「結婚を決めた証」として贈られることが多くなったようです。
婚約指輪を贈るタイミング
婚約指輪を贈るタイミングは、彼女の誕生日、ふたりが出会った記念日など、いつ渡すのが正解というものはありません。何でもない普通の日に渡すことで、ふたりの新しい記念日になることも。
ただし、プロポーズに際に婚約指輪を渡すなら、婚約指輪はプロポーズを行う日に合わせて注文する必要があります。プロポーズする日を決めている場合、婚約指輪がその日に間に合うようにしっかりと準備をするようにしましょう。
婚約指輪と結婚指輪の違い
しかし、一般的には、「プロポーズや結納、婚約の際に男性が女性に贈るダイヤモンドリング」が婚約指輪、「結婚式の際に新郎新婦が交換するプラチナやゴールドのシンプルなリング」が結婚指輪、というスタイルが広く認識されているようです。
婚約指輪はいつ着ける?
婚約指輪は一般的に「結婚前の婚約期間につけるもの」と言われることが多く、婚約期間には毎日のように婚約指輪をつけて、幸せを実感しているという女性も。また、婚約指輪を着けることで、周囲に「結婚をする」ということを一目でお知らせすることもできます。
「結納」や「顔合わせ食事会」の場で、婚約指輪をお披露目する人も多いようです。
結婚後も婚約指輪は着けていいの?
婚約指輪を結婚後も毎日つけている人は多くないようです。傷つけたくない、大きなダイヤが付いているので家事の邪魔になってしまう、といったことが主な理由。しかし、婚約指輪をしまいっぱなしにしてしまうのは、少しもったいない気がします。
そのため、多くの既婚女性は、婚約指輪を友人・知人の結婚式や食事会、記念日などのときに身に着けるようです。
婚約指輪にダイヤモンドが選ばれる理由
婚約指輪の概念が広まった当時は、ほとんどの人が真珠や誕生石で作られた指輪を贈っていたそうです。
それではなぜ「婚約指輪=ダイヤの指輪」というイメージが付いているのでしょうか?
実は、大阪万博やオイルショックがあった1970年代に、ある企業が打ち出した「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーが大当たり。それ以降、婚約指輪はダイヤモンドを使うという考え方が定着していったようです。
ダイヤモンドは愛の象徴
キャッチコピー以外にも婚約指輪にダイヤモンドが選ばれる理由があります。
それは、ダイヤモンドの特性にあります。地上で一番硬い鉱物であるダイヤは、割れることなく輝き続けることから、永遠の愛の象徴といわれています。さらに、ダイヤの透き通るような無色透明な色は、「純潔」という意味も込められることもあります。
壊すことができない強い愛と純粋で美しい愛を象徴するダイヤモンドは、婚約指輪にピッタリの宝石といえるでしょう。
婚約指輪のお返しは必要?
男性から女性に贈られる婚約指輪。婚約指輪をもらったときに考えるのが「お返し」。そもそも婚約指輪のお返しは必要なのでしょうか?
お返しするかしないかは人それぞれ
婚約指輪のお返しは必ずしなくてはならないというわけではありません。
しかし、「ありがとう」という感謝の気持ちをお返しで渡したいという場合、一般的に半返しか3分の1程度が相場といわれています。100万円の婚約指輪なら30~50万円程度、30万円の婚約指輪なら10~15万円程度です。
お返しによく選ばれているのは、日常的に使える時計や財布、スーツなどが多いようです。
まとめ
結婚のスタイルも多種多様化している中で、婚約指輪を買わないという選択をするカップルも増えてきているようです。
確かに婚約指輪は結婚する際に絶対に必要というわけではありません。しかし、婚約指輪を贈ることによってプロポーズが口約束ではないという真剣な気持ちや相手への愛を形にすることができます。
ふたりの財産にもなる婚約指輪。思い出とともにいつまでも大切にしていきたいですね。