手作り感のあるようなところで指輪を作りたいと、
ithに来てくださったお二人。
お話をお伺いすると、
指輪の具体的なイメージはまだなく、
どんな指輪にしようかと悩まれていらっしゃいました。
ithのあたたかなアトリエの雰囲気の中で、
じっくり指輪探しをされたお二人のお話をご紹介します。
お二人の手に馴染む指輪
柔らかな雰囲気で、楽しげに指輪を眺めてくださるお二人は、
ぷっくりと丸いフォルムが特徴的な
《モデラート》を選んでくださいました。
いいなと思ってくださった理由は、
お手元への“なじみ”でした。
これからずっと自分の手に身につけていく人生のお供として、
指へのなじみは指輪選びの大切なポイントになることが多くあります。
そして、“なじむ”という言葉を一つとっても
さまざまな理由によるなじみがあります。
女性にとっては、着け心地がいいこと、
ピンクゴールドのお色味が肌のお色と合うこと。
そして男性にとっては、
デザインのはっきりとしたボリューム感や、
抱え腕の横のラインに現れる個性など、
指輪の形そのものが指にしっくりとくることでした。
特に男性は、ご試着中に
何度も確かめるように身につけられていて、
「生まれてきたときから着けていた気がします」
と“なじみ”の良さを表現されていたことを
よく覚えています。
女性は他の指輪も気になっておられましたが、
お二人で身につけていく結婚指輪として
せっかくなら形はお揃いにしようと
ベースはお二人揃って《モデラート》に決まりました。
遊び心を添えて
男性は、サンプルの指輪そのものを気に入ってくださったため、
コレクション通りそのままでお仕立て。
何度も試作を重ねて生まれたithのデザインを
こうしてそのまま気に入っていただけたことが、
とても嬉しく感じました。
女性は、きらりと光る“ミル打ち”加工も気に入ってくだり、
密かな遊び心として指輪の左側に“ミル打ち”加工をそっとあしらいました。
この“ミル打ち”が、まるで音符の旗のように見えて、
音楽をされているとお話しされていた女性にぴったりだな
と感じたのを覚えています。
ご納品まで
ご納品の前に、仕上がりの確認をさせていただいた時には、
お二人のお手元にピッタリと馴染む様子を想像しながら、
私もワクワクしておりました。
私からのお渡しは叶いませんでしたが、
「すごい!きれい!」と指輪の仕上がりを喜んでくださったと伺い、
お二人の担当のつくり手として大変嬉しく思いました。
ご納品からしばらく経ちましたが、
あたたかく包み込むような形の《モデラート》の指輪は、
これからもお二人の結婚生活に
やさしく寄り添ってくれることかと思います。
お二人の末永い幸せをアトリエより心から願っております。
つくり手 大山