始まりは女性からのお電話でした。
「アンティークの指輪が壊れてしまって、とても気に入っていたので改めて作りたいんです」
今回は、そんなお電話からスタートした指輪づくりについて綴ります。
きっかけ
人生の節目のタイミングで、アンティークの指輪を扱っているブランドで購入したという指輪。
タンザナイトが5ピース並ぶ、イエローゴールドのデザインでした。
深海のようなお色と、「インスピレーション」という石言葉が気に入って
タンザナイトの指輪をご購入されたとのことでした。
ですが、華奢なデザインだったこともあり、気がついたらヒビが入って割れてしまったそう。
それがきっかけでithにご来訪くださいましたね。
壊れてしまった指輪のタンザナイトでリメイクすることも検討されましたが、
じっくりとご相談させていただく中で、
「せっかくならば、もっと自分の好みを込めた指輪にしたい!」というお考えになり、
新しく自分のためだけのアニバーサリーリングを、フルオーダーでお仕立てすることにしました。
タンザナイトの色とデザインのこだわり
「せっかく一生物の指輪を作るなら!」と、お石の色味にもこだわりましたね。
〈深海のような色〉の中でも、より深いお色がご希望とのことで、
石屋さんと相談し、お好みの色味のタンザナイトが見つかりました!
タンザナイトの色味がしっかりと際立つように、
また肌馴染みも良くなるようにと、選ばれたのはピンクゴールド。
タンザナイトはダイヤモンドと比べると硬度が低いお石です。
また、ピンクゴールドは銅の成分が多く含まれており硬い金属のため、
割れないように石留めするのが、とても難しい組み合わせなのですが、
ベテラン職人の技術の助けもあり、無事に美しく留まりました!
タンザナイトの脇には、柔らかくラインのデザインを入れました。
シンプルすぎず主張しすぎない、そんなこだわりの部分です。
タンザナイトの深い色味と、優しいデザインが素敵なバランスになりました。
また日々身に着けやすいよう、石留部分の厚みを抑えるように調整したり、
指輪部分の幅感や厚みも細かくご相談してお仕立てしました。
横からみた表情も美しく仕上がったアニバーサリーリング。
しっかりと特別な指輪になりましたね!
元気がもらえる指輪
左手の中指に着けるようにお仕立てしたのですが、
中指は〈直感〉と〈ひらめき〉を表す指と言われており、
タンザナイトの石言葉「インスピレーション」とぴったりな指輪になりましたね!
完成した指輪を着けてくださった瞬間の、女性のうっとりとした表情が忘れられません。
指輪は身に着けている時にご自身の目に入るからこそ、
毎日パワーをもらえるジュエリーになりました。
「この指輪をしていたら、お仕事もっと頑張れそうです!」
とお話しいただいたことが印象に残っております。
ご納品からもうすぐ1年。
大切なアニバーサリーリングづくりのお手伝いをさせていただき、
つくり手として、改めて嬉しく思っております。
またアトリエでお会いできる日を楽しみにしておりますね!
つくり手 前堂