2022.03.25 #73

個性の違いが二人らしい
お互いの分身のような
心をつなぐ結婚指輪

POINT

  • オーダメイドに憧れて
  • お違いに似合う指輪・欲しいデザイン
  • 二人らしい結婚の形を指輪にこめて

ithへの興味は、“ithで生まれた物語”の記事から

お二人が吉祥寺アトリエを訪ねてくださったのは、この “ithで生まれた物語 #50” を読まれたことがきっかけだそう。

「カップルがそれぞれのスタイルで、思い入れのある指輪をオーダーメイドする様子が素敵で。私たちもここで指輪を作ってみたいと思ったんです」

そしてパートナーに相談すると、男性もまた指輪のデザインを始め、SNS投稿やWEBの雰囲気を気に入ってくださったそう。こうして、女性にとって憧れのithでの指輪選びがスタートしました。

 

アトリエの選びも、自分たちらしい街へ

都心部にお住まいのお二人にとって、吉祥寺は最寄りのアトリエではありません。お近くのアトリエではなく、わざわざ足を運んでくださった理由をお尋ねすると、お二人からこんなお話が。

「都心の繁華街よりも、おっとりした吉祥寺の街に親しみを感じていて。二人にとって居心地のよい街で、指輪を選ぶことにしたんです」

吉祥寺アトリエは、ithで最も古くからあるアトリエです。建物自体も古く、ヴィンテージ物件をリノベーションして開きました。ithの雰囲気がお好きとおっしゃるお二人が、指輪を選ぶ場所にもこだわって私たちを訪てくださったことが、とても嬉しかったです。

 

 

自分らしい指輪のデザインは?

ithのコンテンツを読み込んでいた女性は、すでにいくつか気になるデザインを見つけていらっしゃいました。《ジュメーリ》・《カンパーナ》・《メーゼ》・《ピウマ》の4種類。マットな質感と、個性的なクラフトテイストが目を引くデザインばかり。

普段からジュエリーの重ね着けがお好きで、この日も重厚なシルバーリングを重ね着けしていた女性からは、結婚指輪も太めの幅にしたいとのご要望が。

一方の男性は、着け心地重視。マットな質感に興味をお持ちでした。

お好みのイメージを伺ったところで、いざ試着がスタート。マットな質感が気になるお二人は、王道のコンサバデザインよりも、職人の手で生み出される模様や質感に惹かれていきました。

 

 

指に着けて分かること

ひと通りのデザインを試着してみて、女性は目星をつけた4種類の中でも《ジュメーリ》がしっくりきたご様子。幅も存在感もある指輪で、巧妙に編み込まれたようなデザインが目を引く2連リングです。

 


男性のお気に入りは、《槌目 夏》・《槌目 秋》、そして《デザート》。3種類の指輪には共通点があり、どれもマットで
表面に凹凸のあるデザインでした。

 

すると女性が、迷いなく一言。

 


《デザート》が一番似合うね!


《槌目 夏》・《槌目 秋》の2種類は、“平打ち” と呼ばれるエッジの立った角のあるフォルムです。

それに対し、《デザート》は、エッジを丸めた穏やかなシルエットに、凹凸を施し
立体的に仕上げたデザイン。幅も細身なので着用感も軽やかなので、着け心地を大切にする男性にとって申し分ありません。


こうしてお気に入りのデザインが見つかったお二人ですが、ひとつ問題が生まれました。女性の《ジュメーリ》
と男性の《デザート》は、お揃いとは言い難い、個性の異なるデザインなのでした。



本当に欲しいデザインで

指輪を探されるカップルにとって、“お互いが欲しいデザインが揃わない” という問題は、よくあるお悩みです。

お好みが違うケースは、骨格・指の長さ・関節の張り具合など、身体的な特徴により似合う指輪は異なるという場合もあります。ご試着の末、カップルで別々の指輪を気に入るケースでは、お互いのデザインを揃えたいご意志の強さをじっくり伺っていきます。

お二人もデザインを絞り込んだ時点では、“結婚指輪=お揃い” が当たり前だと疑うことなくお考えでした。

ですが、せっかくお互いの個性にぴったりのデザインが見つけることができたお二人。それぞれお気に入りのデザインとの出会いを大切にするため、つくり手の私からひとつ “
テクスチャーの変更” をご提案しました。

 


男性の《デザート》の表面に施された、粉雪のようにさらりとマットなホーニング加工。このテクスチャーを女性の指輪にも施し、質感を揃えて統一感を持たせてはどうか。そうお伝えしました。

「《ジュメーリ》が好きだけど、さすがに夫と違いすぎるかな…?と、ちょっと不安だったんです。これでスッキリしました!」

 

ご提案を喜んでくださる女性の隣で、男性も心なしかほっとしたご様子でしたね。男性は指輪の素材にイエローゴールドを選ばれたため、女性もそれに倣い2連のうちイエローゴールドのリングにホーニング加工を施すことが決まりました。

一緒に試着して、一緒に選ぶ。
だからこそ、パートナーの心の動きが分かる指輪選び。

お相手を思いやりながらも、率直に意見を伝え合うお二人のご様子に漂う信頼関係。お互いの個性を尊重し合う、お二人の在り方が垣間見えるひとときでした。

 

 

指輪の完成

お二人の指輪が完成した頃、街には新型コロナの感染が広がっていました。これまでアトリエでお客様へ直接お引き渡ししてきた指輪も、宅配便でのご納品が増えていた時期です。

お二人へ指輪の完成をお伝えすると、アトリエで指輪を受け取りたいとお返事をくださいました。

「毎日暗いニュースばかりの中、明るいニュースとても嬉しいです」

メールでそう返してくださったお二人と同じく、つくり手の私もお二人へ指輪を手渡しできるとなり、とても嬉しかったです。

指輪をお渡しすると、普段からニコニコ朗らかなお二人が、ますます素敵な笑顔を見せてくれました。目の前で指輪交換をするお二人の姿は、いつまでも記憶に残るだろうと思います。

 

「愛用している指輪とも馴染むし、ひとつだけゴールドだから特別感もあります。かわいい!」

そう喜んでくださる女性を、嬉しそうに見守る男性。

「それぞれが気に入った指輪の中で、お揃い感を出せました」

お二人らしい指輪づくりに携われたことを、改めて幸せに思う瞬間でした。

 

 

ウエディングフォトのお福分け

指輪をご納品してしばらく経ち、お二人からウエディングフォトが届きました。

 

クリーニングやメンテナンスでお客様と再会する機会はあるものの、お二人の晴れの日を知る機会は多くはありません。素敵な思い出をシェアしていただき、お二人との交流に心が温まりました。

アトリエではマスク姿だったお二人の、マスクなしのドレス姿。お二人にぴったりな、ナチュラルテイストのロケーションフォト。雑誌に出てきそうな美しい写真の中のお二人の指には、《ジュメーリ》と《デザート》が輝いています。

中には、お手元が主役のカットも。お二人にとって結婚指輪が特別なものであることが、写真からひしひしと伝わりました。

 

 

「私たちらしい結婚の形が、そのまま指輪になりました。いつ何度見ても、この指輪にしてよかったなと思います。単身赴任になった今、指輪はパートナーの分身のような存在です」

近況報告に添えられた言葉から、暮らしが変わっても、揺るがないお二人の思いが伝わりました。

手に入れた瞬間よりも、着け続けるほど愛着が深まる結婚指輪は、ジュエリーの中でも特別なのだと改めて感じています。未来を切り拓くお二人の手に、いつまでも指輪が輝き続けますように。

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