2021.03.31 代表ブログ

かけがえのない人へ贈る、アニバーサリーのジュエリー

ithのアニバーサリーネックレスの1つ、Cielo〈チェーロ〉は、イタリア語で“空”という意味があります。夕空に最初に輝き出す星、“一番星”がモチーフです。自分にとってかけがえのない人への贈り物、守るべき存在ができた時のことをイメージしてデザインを考えました。


結婚記念日に感謝の気持ちと一緒に、生まれた子の未来が明るく輝くように、という願いをチェーロに込めています。


中央に宝石を留めたプレートタイプのペンダントトップは、どんなシーン、装いでもお守りのようにずっと身に着けられるシンプルなネックレスです。



中央の宝石を留める“星の飾り彫り留め”というithオリジナルの石留めは、和彫りという技法を使います。和彫りとは、タガネとおたふく槌という道具を使って金属の表面に模様を彫り入れる装飾で、元々は鎌倉・室町時代から刀の装飾に使われていた技術だと言われています。このペンダントトップの“星の飾り彫り留め”は、一見するとまっすぐな線が入っている単純な図形ですが、和彫りで石を留める技術は、職人の技量によって差が出やすい加工でもあります。


まずは仕上がりの美しさを左右するタガネという道具作りからはじまります。星の飾り彫りで使うタガネは、“毛彫りタガネ”と言って、彫り跡はV字の溝になります。このV字の溝の太さと深さを決めるのが、タガネの先端の彫る部分の形状です。刃先の角度と鋭さを正確に成形することが求められます。


私が学生だった頃にはじめて和彫りを習った時、先生に言われたことは「タガネが上手く作れなければ、美しい彫り跡と模様は仕上がらない」ということでした。彫り跡は、タガネに傷が入っていると、それが彫った線にも写ってしまうので、ピカピカの美しい彫り模様にするためにはまずタガネに傷や曇りがないことが重要になります。模様の良し悪しは、彫る線のなめらかさのようなもので、ギザギザしないすっと整った線になるように先端の研ぎの角度の仕上げが自分にとって使いやすい角度になっているかが大事になります。


なかなか思う通り自分の手を動かすことができずに、タガネづくりはもどかしい思いを随分しました。あまりにも上手くできず、私が作ったタガネを先生が修正してくれたものを使うと、力を入れなくても切れ味が良くなって、スイスイ地金を彫ることができるようになりました。


道具が上手く出来上がったら、作業の半分は成功したようなもの。次は彫る作業です。“星の飾り彫り留め”は、彫りの線がまっすぐに、中央の宝石に向かって伸びていきます。8方向から中央に向かう線が互いに重ならないように、左右対称の線の長さになるように、などithでは細かい基準を設けています。


彫った線はやり直すことができないため、一発勝負の緊張感ある手仕事です。機械とは違う1点ずつ職人が彫りを施したあたたかみと、ものづくりへの緊張感をこの彫り模様から感じてもらいたいと思っています。



表面の彫り模様以外にもこだわりのポイントはあります。側面から見ると、プレートの中央に厚みがあるのですが、この厚みには宝石を保護する役目があります。誕生石の12種類には、日常ずっと身に着けるための耐久性に注意が必要な宝石があるので、どの宝石を選んでも安心して身に着けてもらえるように、と考えました。地金に埋め込むデザインにすることで、宝石を欠けや割れるリスクから守ります。


また、なるべく凹凸のないデザインにすることで、洋服や小さなお子さんがいても、引っかかりが少なく怪我をしにくいようにという使い心地にも配慮しました。



物として残るジュエリーには、その物への愛着はもちろん、贈ったり、贈られたりする時の気持ちが宿っているのが一番の魅力だと私は思います。「このネックレスは、1年目の結婚記念日にプレゼントしてもらったの」などと、ずっと後になっても思い出して懐かしむことができるような、人生の節目を彩り、人と人を結ぶ大切な役目をithのアニバーサリージュエリーが果たしてくれることを願っています。





ith 高橋亜結


アニバーサリージュエリー Cielo〈チェーロ〉

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